すべてのヒトは認知症なのです


実は一週間前に『神は沈黙せず』を読んだばかりだが、意外と面白かったので山本弘氏の最新作『アイの物語』を入手した。『神は沈黙せず』と同じく、占いを信じる人間は論理的に間違っていると断言するところが、と学会の面目躍如といったところ。


白眉はすべての人間は認知症だ、と言い放っていることだろう。本文の台詞を引用すると、「論理的帰結です。ヒトは正しく思考することができません。自分が何をしているのか、何をすべきなのかを、すぐに見失います。事実に反することを事実だと思いこみます。他人から間違いを指摘されると攻撃的になります。しばしば被害妄想にも陥ります。これらはすべて認知証の症状です」


ゲドシールド、すなわち「自分は真実を知っていると思いこんでいるヒトが、外界からの真実の情報を無意識にシャットダウンすることで、自分自身を偽ろうとする心理的機構」という概念も秀逸だ。


だけど、ヒトは認知証にかかっているので、理論的に正しくとも部長に「こいつ嫌い」と冗談半分に言われちまうんだよなあ。そりゃ、俺だって部長に嫌われるのはマイナスだって論理的には分かってはいるんだけどね。さて、嫌だけど新人歓迎会というなの飲み会に出てくるか。ごねても出席することになるので、さっさと承諾してしまったのうが身のためだ。畜生、間違ってる。