3 ゲーム中毒は正式な障害、疾患ではない 韓国インターネットデジタルエンターテインメント協会(K-IDEA)

1)米国精神医学会のDSM-V(精神障害の診断と統計マニュアル)の内容
米国精神医学学会では、インターネットゲームを正式な精神障害として分類していないし、現在までに関連する研究が特定の基準/条件内で行われていないため、正式に障害として分類するためには、同じ基準・同じ結果を多くの研究により検証されなければならないとする立場である

DSM-Vとは?
・Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders :精神障害の診断と統計マニュアル
・米国精神医学学会で複数の精神障害(Mental Disorders)を分類するための標準的な基準を日常言語により記述した便覧
- 患者の症状を見ながら、その症状がどの障害に該当するかどうかを診断する便覧として、臨床医、精神医学の薬物規制局、健康保険会社、製薬会社、法曹界、政策立案者などが使用するアメリカの精神障害基準であり、医学界の標準的な指針である
・このハンドブックは、非定期的に出版される。1952年に第1版(DSM-I)が出版され、2013年5月にDSM-Vが出版されている。

DSM-Vの構成と内容
DSM-Vは、以下の3つのセクションで構成されている

  • セクションI:イントロダクションと便覧の使用法、注意事項など
  • セクションII:(障害)の診断基準とコード
  • セクションIII :最近の診断法(measuure)とモデル

・セクションIIの内容

  • 現在正式に精神障害として認定されたすべての障害を大分類、小分類に区分し、その診断基準に整理したもの。どの分類にもネットゲームは含まれていない

現在の<ゲーム中毒法>を発議した医学界の論理ではセクションIIにインターネットゲーム中毒が含まれている必要があるが、実際には、インターネットゲーム障害はセクションIIIに含まれており公式の障害とせず、インターネットゲームはさらなる研究が必要な状態と規定している

2)関連した世界の精神医学連合の年次総会のテーマ発表

世界の精神医学連合の年次総会とは?
・世界中の精神医学の専門家が集まり、精神的健康、精神病理、中毒など100余りのテーマについて討論する学術行事
インターネットとゲームの問題の主題発表(米国スタンフォード大エリアスアブジャウッディ教授)
・世界のどの国にも、インターネットやゲームの問題の診断基準と調査方法について、統一された基準がない。
・治療方法も科学的根拠も初歩のレベルにとどまっているため、インターネットやゲームの問題を「病気」或いは「障害」と断定するには時期尚早である
関連する専門家の見方(イ·ヨンシク中央大学病院の精神医学科教授)
・ 30〜40歳代に発生することが多く、一生つきあわなければならないアルコールやギャンブル依存症とは異なり、臨床経験上、ネットゲームの問題は仮想世界に憧れている10代に発生することが多く30代以降に急激な減少を見せている。
・また、 40代以降まで持続するという観察がない。ネットゲームの問題は小児・思春期の心理発達過程に表出される移行的な開発学的現象(訳注:ライナスの毛布?)である可能性がある
・ゲームの問題として病院を訪ねてくる小児・青少年を数年間見ていると、純粋にゲームの問題である場合はごく少数である。
・多くは注意欠陥多動性障害ADHD)、うつ病性障害、不安障害、強迫性障害、学校不適応、親との愛着障害現象と複合的に関係している。ゲームが1次的原因というよりは、ある種の出口あるいは結果であるという点にも関心を持つべきである。
・したがって、小児・青少年のインターネットゲームの問題は、法制化と統合管理を論じる以前に、より充分に標準化された診断ツールによる頻度調査、成人期への追跡調査、長期間の脳の発達の変化の追跡研究を通じて、科学的に実体を明らかにしていくべきものである