国連の専門家へ。hentaiの禁止は間違いだ。

国連委員会はロリコンショタコンのhentai――日本のマンガ本形式――を含む図画やカートゥーンにおける未成年の性的描写を全世界的に禁止することを可能にする草案を回覧している、と人権の専門家が心配しています。

子どもの性的虐待に対して無力だと見られたい政治家はいません。しかし残念なことに、ほとんどの有権者が知っていることの範囲は一連のよく知られる神話に基づいています。たとえば、見知らぬ他人の神話(子どもの性的虐待95%は子どもが知っている人物によって行われる)、子どもを虐待するのはみな小児性愛であるという神話(子どもを虐待する人間の73%はそうではない)、未成年者の時期尚早な"sexualization"は芸術やメディアにおける子どもの描写に起因する可能性がある(そんな単純なものではなく、もっと複雑です)、など。

当然のことながら、有権者がこれらの信念が虚偽であることに直面することは当選し続けようとする政治家にとっては勝利するための提案ではありません。そのため彼らは検閲の増加、セックスワーカーの権利への攻撃1、厳罰化といった人気のある手段を通して子どもの性的虐待者という藁人形に焦点を合わせる傾向があります。そのような戦略が機能しないのは当然のことです。

誰が禁止を提案したのか?

提案の背後にある国連機関である子どもの権利委員会は、交代で世界中の政府から選ばれた18人の専門家メンバーで構成されています。条約や協定といったいわゆる「厳格な」国際法を直接制定するものではありません。条約や協定、たとえば児童の売買、売春および児童ポルノに関する選択議定書、は政府が直接作ります。この選択議定書は児童ポルノを禁止する国際協定で、以下のように定義されています。

児童ポルノ」とは、現実の若しくは擬似のあからさまな性的な行為を行う児童のあらゆる表現(手段のいかんを問わない。)又は主として性的な目的のための児童の身体の性的な部位のあらゆる表現をいう。

選択議定書自体は新しいものではありません。2000年に導入されて以来、175カ国が署名し批准しました。委員会が現在コメントのために回覧しているのは、各国が現地法の一部として選択議定書を制定し執行するために従うべき一連の実施ガイドラインです。これらのガイドラインは(法的)拘束力を持ちませんが、依然として影響力を持ちます。多くの国が従う傾向にある一種の「ソフトロー」です。

委員会のガイドラインの作成を促進しているのはECPATと呼ばれる巨大な全世界的児童保護ネットワークであす。これまで私達はFOSTA/SESTAという反セックスワーカー法を支援し、児童性的虐待を説明するために使用される用語集を近代化しようとするLuxembourg Guildelinesのなかに性否定的な要素があることでECPATを批判してきました。民間の非政府組織であるECPATは今や本稿と関連のあるLuxembourg Guidelinesの一部を国際法に一歩近づける形で輸出することに成功しました。それが心配です。

何が禁止されるのか?

実施ガイドラインは描写された画像の建設意外にも幅広いテーマを網羅しおり、それらすべてが悪いわけではないことは確かです。たとえば、「すべての人、特に子どもの介護をしている人が、性的搾取や虐待のさまざまな形態について適切な知識を持っていることを確実にする」という必要性に関する前向きな文章が含まれています。また、犯罪を防ぐ観点から締約国に子どもの性的虐待の「性質、程度、根本原因および子どもへの影響を分析し評価する研究を実行する」ことを提案しています。私達はこの文書のこれらの部分を全面的に支持しており、私達の提案のなかでこのことは明確にするでしょう。しかし、選択議定書の「児童ポルノ」の定義を絵画、人形さらには書かれた言葉まを含むよう拡張しようとしていることは道を踏み外しています。ECPATのLuxembourg Guidelinesを囲繞して、委員会は草案の中で児童ポルノの定義が暗黙のうちに次のものを含んでいることを主張します。

写真、映画、絵、漫画などの視覚資料。ほかには音声表現、あらゆるデジタルメディアの表現、ライブパフォーマンス、印刷物またはオンラインの記述、彫刻やおもちゃ、装飾品などの物体

さらには「そのような描写は子どもを性の対象として見ること(sexualisation)を正常化することに貢献し、子どもの性的虐待物の需要を刺激します」と主張しています。しかし、この主張を支持する証拠は提示されません。それどころか、芸術と子どもの性的虐待との関連についての性否定的な誤った仮定に基づいています。未成年を明らかに性的な文脈のなかで描く多くの芸術は小児性愛者によって/ために作られていません。そして、そのような芸術が現実の子どもの虐待に関連しているという証拠はありません。2

事実、専門家は未成年とのセックスについて考えていることに気づいた人に被害のない出口を提供することでカートゥーンや人形といったファンタジー表現が現実の子どもへの虐待を減らすことができるかもしれないと考えてさえいます。3これは物議を醸す考えであり、そして多くの人々にとってはそう考えることは心かき乱されます。しかし、それが正しいという可能性があるならば、仮説としてよりも研究対象に値すると私達は考えます。私達はまさにこの種の研究のために資金を集めています。

私達は代わりに何をすべきか?

それまでの間、危害を加えられるはずのない幻想の子どもたちよりも、害を受けると分かっている現実の子供達に焦点を絞りましょう。RedditやDiscordなどのプラットフォームはカートゥーンを禁止し、子どもの性虐待の現実の画像はYandexやBing、DuckDuckGoといったサーチエンジンを使うことで簡単にアクセスできます。このもっと大きな問題が解決されるまで、カートゥーンを禁止することは気を散らすことです。

米国最高裁判所は、現実の子どもの表現のみ(もしくは実際と区別が付かない表現)を児童ポルノに含めるよう定義しました。4なぜなら、このような画像の流通は子どもの虐待に直接寄与するからです。これは私達が取るべき正しい基準です。政府に――そしてなお広くは責任をとることができない国連に――容認できる芸術の範囲を狭めることを許すことは子どもたちを助けることにはならないでしょう。しかし、それは合法的な言論のさらなる検閲への扉を開くでしょう。

ですから私達はあなたがたに立ち上がって国連にカートゥーンの禁止を含む国際法の拡大を拒否するように国連に伝える私達を支持するようお願いします。3月31日の締め切りまでに下記の請願書に記入して下さい。

委員会各位

性的虐待から子どもを守ることよりも重要なことはほとんどありません。だからこそ私は、現実に虐待されている児童の画像やビデオを禁止するという現在存在する形の児童ポルノの国際的な禁止を全面的に支持します。

私は児童売買、児童搾取と児童ポルノに関する選択議定書の実施に関するガイドライン案で現在提案されているような、この定義を画像、カートゥーン、書き物、おもちゃ、もしくはほかの想像上や架空の子どもの表現を含むように拡張することを指示しません。

想像上のまたは架空の子どもの表現が現実の子どもに害をもたらすという証拠はありません。したがって、そのような表現を禁止することを世界人権宣言の第19条によって保証されている表現の自由の権利を侵害するでしょう。

締約国は想像上または架空の子どもの芸術的または文学的表現を検閲または犯罪化するという勧告最終ガイドラインに含まれないことを確認して下さい。

https://prostasia.org/blog/experts-to-united-nations-hentai-ban-would-be-a-mistake/


  1. ここから自サイトへの引用が続きます。

  2. 証拠を提示していないことには同意しますが、小児性愛者のために作られているであるとは言ってはいません。また、結果的に子どもの虐待が行われるであろうことを匂わせてはいますが、現実の子どもの虐待に関連していると"は"言っていません。

  3. 原文では3つのリンクが張られていますが、宛先はすべて同じURLです。手違いでしょうか。

  4. 児童ポルノはその通りですが、Protect Act of 2003では児童ポルノの定義外で非実在児童が禁じられています。おそらく著者は同法は憲法違反であり、よって、アメリカでは現実の子どもの表現のみ禁じられているという主張なのでしょう。