オープンネットの声明:憲法裁判所のアチョン法第2条第5号合憲決定を受けて

国会と裁判所、捜査機関は、憲法裁判所の決定の趣旨と違憲意見を尊重して実在する児童と青少年の性を保護することにより努力しなければならない。

2015年6月25日に宣告された憲法裁判所のアチョン法第2条第5号の合憲決定(合憲5、違憲4)は、裁判所や捜査機関に対して「法律の合憲解釈および適用」という難しい宿題を投げた。オープンネットは現行アチョン法の違憲性を完全に解消するためにアチョン法改正運動に邁進する予定である。

本日憲法裁判所の宣告対象となった事件は以下の通り。

(1)いわゆる大人が制服を来たAVにアチョン法が適用され起訴された事件で「罪刑法定主義に違反し、表現の自由や青少年の性的決定権を侵害し、青少年前科者が量産される可能性がある」という理由で、2013年5月、ソウル北部地方裁判所違憲法律審判を提請した事件(2013-17)、

(2)仮想表現物(漫画)にアチョン法が適用され起訴された事件で、「漫画を実際の児童が登場するわいせつ物と同じように扱うことは平等の原則、過剰禁止原則に反する」と水原地裁で違憲法律審判を提請した事件(2013-24)など

過去2013年から創作団体および多数の法律の専門家たちと共にアチョン法対策会議を構成して立法キャンペーンと公益訴訟を進めたオープンネットは、アチョン法第2条第5号は実在する児童や青少年の性保護という立法趣旨とは異なり、表現物に対する過度で不明確な刑事罰規定であるため改正すべきだと主張してきた。

(1)実在する児童や青少年の性保護がアチョン法の真の立法趣旨である。
(2)表現の自由を規制する法律で表現が禁止する場合は明確さが必要である。特に刑事処罰条項の場合はなおさらである。

本日、憲法裁判所が第2条第5号を合憲と決定したが、裁判所は今回の合憲決定の全体趣旨と4人の違憲の意見を尊重して合憲の法律解釈をしなければならない。

違憲の意見(4人)は、オープンネットの主張と同様に「児童・青少年に認識することができる表現物」などは、明快さの原則に違反するという判断を下し、仮想の児童・青少年ポルノへの接触と児童・青少年を相手にする性犯罪の間に因果関係は明確に立証されていないという立場である。

合憲意見(5人)は、「児童・青少年に認識することができる人」は実際に児童・青少年であると誤認するのに十分な程度の人物が登場する場合を意味するという前提の下で アチョン法の適用範囲は、児童・青少年を対象にした性犯罪を誘発するおそれがあるレベルのものに限定されると明らかにした。

裁判所は合憲決定の全体趣旨と4人の違憲の意見を尊重し、下記のように既に確立した合憲の法律解釈の範囲をさらに精巧に整理すべきだ。

(1)成人が制服を着たAV

最高裁はすでに、成人が制服を着たAVにアチョン法が適用された場合、無罪判決(最高裁刑事1部(2013-12607宣告、2014.9.26、主審判事キム・ヨンドク)、刑事2部(2014-5750宣告、2014.9.25、主審判事シン・ヨンチョル)、刑事3部(2013-4503宣告、2014.9.24、主審最高裁判事キム・シン)を宣告している。

最高裁刑事2部の判決で「その登場人物の容姿や身体発育状態、映像のソースや制作の経緯、登場人物の身元などについて与えられた情報を総合的に考慮して、社会一般の視点から客観的に観察して見かけ上は間違いなく明らかに児童・青少年であると認識される場合はアチョン法を擬律する(適用する)ことができるとする、合憲の法律の解釈の基準を明示した。

(2)仮想表現物

アニメーションなどの仮想表現物が適用された被告事件についても水原地裁城南裁判所の判決(2014高裁285)のように原則として無罪を宣告しなければならない。上記判決ではアニメーションなどの仮想表現物にアチョン法を例外的に適用することができる基準を以下のように述べている。

a.表現物の制作において、実際の児童・青少年がモデル等に参加した場合 b.表現物の制作において実際の児童・青少年が参加することはなかったが、コンピュータ合成などを介して、実際の児童・青少年が参加したかのように操作がされた場合 c.表現物の制作において実際の児童・青少年が参加したり参加したかのように操作されたことはないが、画像やストーリーなどにより、実際の児童・青少年が特定されて該当する児童・青少年の人格権が侵害されている場合

オープンネットは係留中のアチョン法改正案の通過と捜査機関の合憲法律適用を促す。

国会は4人の違憲意見で明らかになった違憲性の完全な解消のため、何よりもアチョン法第2条第5号の適用範囲を「実在する」児童や青少年に限定した改正案(チェミンフイ議員代表発議)を早急に通過させなければならない。

捜査機関も憲法裁判所の決定の趣旨と違憲意見を尊重し、仮想表現物が問題になった事件について起訴を自制すべきである。捜査機関はオンライン上で不必要に捜査力を無駄使いすることをやめて「実在する」児童や青少年の性的自己決定権を侵害する重大な犯罪行為に対して捜査力を集中しなければならない。

2015年6月25日

社団法人オープンネット