韓国の青少年対策および児童ポルノ法について

2012年11月17日に投稿された漫画を契機として、いま韓国では「児童・青少年の性保護に関する法律」(略称、児青法)の第2条4項〜第2条5項に対する反対運動がネット経由で盛り上がっています。

まず基礎知識として、韓国には日本でいう青少年健全育成条例の法律版である「青少年保護法」( http://t.co/3YvZiBLl )と日本でいう児童ポルノ法である「児童・青少年の性保護に関する法律」( http://t.co/ryuT546W )があります。どちらも主幹は女性家族部です。

「青少年保護法」は基本的に未成年(19歳未満)にわいせつ物を見せてはいけません、という規定となります。韓国におけるわいせつ物の定義ですが、日本で流通しているAV(本番あり)はわいせつ物となります。女性の胸が露出されていて性的関係が描かれる程度のものであり、性器の挿入は行われません。また、近年の動向としては第3章として「青少年のインターネットゲーム中毒予防」が挙げられており、オンラインゲームを青少年がプレイするためには親権者の同意が必要であり、また、16歳未満の青少年は午前0時から午前6時までオンラインゲームをプレイできないとされています(いわゆるシンデレラ法)。

さて、それでは本題に入るために児青法の第2条4項〜第2条5項を見てみましょう。

 4. "児童・青少年の性を買う行為" は児童・青少年、児童・青少年の性を買う行為を斡旋した者または、児童・青少年を実質的に保護・監督する者などに金品やその他の財産上の利益、職務・便宜提供など代価を提供したり約束して次の各項目のいずれか一つに該当する行為を児童・青少年を対象に行ったり、児童・青少年をしてせしめることを言う。

  • A. 性交行為
  • B. 口腔・肛門など身体の一部や道具を利用した類似性交行為
  • C. 身体の全部または一部を接触・露出する行為で、一般人の性的羞恥心や嫌悪感を起こす行為
  • D. 自慰行為

5. "児童・青少年利用猥褻物" は児童・青少年または、児童・青少年と認識されうる人や表現物が登場し、第4項のいずれか一つに該当する行為をしたり、その他の性的行為をする内容を表現するフィルム・ビデオ・ゲームまたはコンピュータやその他の通信媒体を通した画像・映像などの形態になったものをいう。

ポイントは第2条5項のに「表現物」が含まれること、そしてその「表現物」にはアニメ、マンガも含まれるのかという点です。これに対して「児童・青少年と認識されうる人や表現物」の範囲が曖昧なだけに表現の自由を抑圧することができる要素という批判が相次ぎました。たとえばバクギョンシン教授( @unbeatenpath )は"児童・青少年利用猥褻物"は実在の児童・青少年が登場する作品に限定されなければならないという2002年憲法裁決定を引いて「表現物」を含めたことを批判しています。

このような批判を受けて2012年11月19日、チェミンフイ議員( @motheryyy )が「児童・青少年の性保護に関する法律」の"表現物"の部分を抜いて"実在の児童・青少年が出演すること"へ変更する改正案を提案しましたが、キム・ヒジョン氏ら他の議員の反対でこの改正案は破棄され( http://t.co/wnQFWaY6 )、"児童・青少年と明らかに認識することができる人や表現物"というフレーズに変えた改正案が可決された( http://www.mt.co.kr/view/mtview.php?type=1&no=2012112109294257652&outlink=1 )。そのため、現在ネットユーザーは違憲訴訟の準備を進めています。