シンポジウム「ポルノ被害と子どもの貧困」パネルディスカッション

ユニセフ中井氏

国連で子どもの貧困を定義した。子どもの貧困は開発途上国における問題でもあるが、あえて国連が先進国の子どもの問題としてレポートを出した。先進国の中で作られてきた性のなかで福祉が思ったように保障されていない。中里見先生がそれをまさに体系化して説明した。

主催者

ポルノを基調としたパネルは2回目。ポルノはなんかイヤなものではなく、類型を理論化して表現として楽しむためのもので被害者はいないという反論に対して被害者の観点が抜けているという課題を提起して頂きました。

高橋氏

義務教育の中で性教育、いのちのついての教育、暴力についての教育をすべきだと思う。子ども達が今されていることを不適切なものであると認識できていない。それさえ分からないという現状があるのではないか。義務教育の原点に立ち返り、教育を受けさせる義務にこだわりたい。児童虐待の早期発見ができるのは「学校」の中ではないか。

主催者

昨年のシンポで浅井先生がそういった幼少期から性教育が必要と案を出されている。早期の取り組みが被害に遭う前の、大きくなる前に防ぐことに繋がるのでは。

中里見先生

ポルノ被害という問題を提起してAPP研で10年にわたって(森田氏が)類型化を行った。成人ポルノの需要規制を実現するにはどうするか。

ポルノグラフィー=性暴力としてどう再定義するか。過去に性暴力とされていなかったセクハラ、DVが性暴力とされるようになった流れがある。ポルノグラフィについて、本質を見るということができていないのではないか。ポルノをどのように性暴力として再定義できるか、言い直すことによって暴力性が見えるようになる。

性に関する人権をどう考えるのか。被害者のいない成人ポルノやバーチャルまで規制するとなると人権を考え直す必要がある=性的に侵害されない権利。これまではそれほど明確化されていない。

性に関する自由はかつてはポルノ解禁に代表される性を謳歌するものだった。もしくは性的自己決定権。そういった文脈でしか語られてこなかった。性が尊厳と結びつく人格権として構成されるべき。

金という権力を使って他人に使わせる権利が性産業に入ることの実態。人格権を侵害しているため規制していくべき。

ユニセフ中井氏

具体的アクションを行政、司法に対してかけている。児童ポルノ総合排除対策の行動計画には児童ポルノ事件の取り締まり強化がある。ここだけの話、国内の犯罪の中で児童ポルノは重罪ではない。最高で5年、初犯は執行猶予、再犯で1・2年。海外だともっと重罪。その中で警察がここまで力を入れてやっているのはG8宣言があったり世界で一番厳しい内容の欧州評議会があり、国際的な捜査協力の裏返しである。

方法については中里見先生の話もあり、とりあえず明確。その裏付けとなる国内世論がどういうふうに支援するかしないか。(単純所持は)当然禁止されているはずだと思っている人も多くいて、実はあまり知られていない。声のない声、子どもの問題を解決するために私たちが声を挙げ続けなければならない。

最後に2002年国連子ども特別総会について。子どもに相応しい世界は、すべての人びとにとって相応しい世界のはずだ。シモン・ドグワール(??)の「おい」という作品にこういった言葉がある。「ある国がその国の老人をどのように取り扱うかでその国の民度が分かる」これを子どもにおきかえる。