表現規制13のウソ その4 日本は海外から「児童ポルノ大国」と呼ばれている!

今日は次のことだけ覚えて帰ってください。

児童ポルノ大国」は規制強化のための観測記事が2008年に作ったプロパガンダのための造語です。

警察庁によると昨年一年間の同法違反事件のうち、児童ポルノ関連で立件されたのは567件(暫定値)に上り、5年前の3倍になった。こうした状況から日本が「児童ポルノ大国」という国内外の批判は根強い。主要8カ国(G8)中のほとんどはすでに単純所持を禁じている。

上記は2008年3月4日、「児童ポルノ大国」という単語が初めて使われた朝日新聞の記事です。管見の限り、この日より前に日本の四大紙(読売、朝日、毎日、産経)が「児童ポルノ」という単語を使ったことはありません。同年3月19日には読売新聞が続いて「児童ポルノ大国」という単語を使います。

主要8か国(G8)の中で日本とロシアだけが単純所持を規制していないといい、日本は国際社会から「児童ポルノ大国」と批判されてきた。

これらの記事が報道された2008年は1月30日にアメリカのシーファー大使が読売新聞に「日米は児童ポルノの二大消費国」を寄稿し、3月11日には日本ユニセフ協会などによる「なくそう!子どもポルノキャンペーン」が始まっています。時期を考えれば規制を強めようという思惑で打ち出された観測記事でしょう。

本当に「児童ポルノ大国」と批判されているのであれば、それこそ1990年代の記事から使われていて然るべきですが、そのようなことはありません。「児童ポルノ大国」とは、単純所持を禁止せず、児童買春・児童ポルノ禁止法の違反事件を抑制できない日本の状況に対するキャッチフレーズ、実質プロパガンダを日本国内で付けたものです。ところが昨今のインターネッツではもともとの経緯が忘れ去られ、あろうことか、日本は児童ポルノ大国と呼ばれている、あるいは、日本は「児童ポルノ大国」と呼ばれているといった俗説までもがまかり通っている次第です。

児童ポルノ大国」は「馬から落ちて落馬する」式の言葉であり「児童ポルノ大国」という言葉を抜いて意味が通らないことはありません。情報量はゼロです。新聞記者の方々には重言の使用は控えて頂きたいものです。

また、「児童ポルノ大国」では何が問題なのか分かりません。児童ポルノの発信国児童ポルノの製造国では自ずと対策が異なってきます。児童ポルノが害悪だと思っているのであれば、海外からどのように批判されているかを正確に伝えて頂きたいものです(尤も何が問題か書かれていない記事はないと思います)。

最後に、実際はどのように呼ばれているかの例を挙げます。

The country continued to be an international hub for the production and trafficking of child pornography.T(アメリカ国務省 2013年)

Japan was the only member of groups of developed nations like the Organization for Economic Cooperation and Development, or O.E.C.D., that still allowed its possession.(NY Times 2014年)