7/1 出版労連第38回出版研究集会 改定都青少年条例7月施行、何が問題か―権力規制と自主規制の狭間で考える

敬称略。もう3週間の前のメモだから忘れがちだ……

保坂展人(個人として参加)

中学校でのベトナム戦争への批判ビラetcが政治活動に当たる、校則違反とされた。戦後、日本の教育は民主化されたはずであり、思想・表現の自由に反すると内申書裁判を闘った。高裁、最高裁では敗訴したが内申書の濫用はなくなった。

議員になってからは法務委員会に所属した。弁護士が多い場所で、ここでは盗聴法と共謀罪に関わった。盗聴法については99年強行採決されたが、どういう条件で盗聴が成立するのかという課題に取り組んでいたら自分が盗聴されていた(笑) 共謀罪については謀議=実行行為か否かがポイント。最高裁の共謀認定では言葉なき共同謀議(暴力団の親分のボディーガードが拳銃を持っているのは、言葉には出していないけれども親分が子分に命じたものである)が認定されている。

児童ポルノ法について。盗聴法・共謀罪については刑法に詳しいくとがわっと集まったが児童ポルノについては議員・識者が集まらなかった。09年の審議では児童ポルノの運用をやっていた議員(葉梨議員)が答弁に立ってサンタフェは3号ポルノと適用されうると答弁した。実際の捜査ではどういう目的で本棚に置いていたか、いやらしい目的で置いていたのかということが問われるが、それは「心」を問うことだ。

戦後の刑事罰治安維持法の反省から外形的行為について処罰している。都条例は国会では内心の自由表現の自由について議論が行われるため、(そのような議論がされない)東京都で先陣を切ろうとする考えだろう。作家が「どういうつもりで書いた」か、青少年が「どういう思いで」見るのかという心を規制する条例であり根が深いな、と思う。都条例に関して私にもメール等が届いたが、児童ポルノ法の数百倍くらい動いたという感触がある。考える人が増えたのはよいことだ。

橋本健牛

'82〜'95 出倫協の最前線で国会議員などとやりとりしていた時の話をする。最近の話は縁がない。規制する側と当事者の対応は似ているところと違うところがある。攻める行政と守る出版界。出版界の中では大きな出版社と小さな出版社、東京の書店と各地の書店、外に向けては仲間の団体でも、内輪では対立している。

東京都の審議会は他県と比較して費用と人員を使って出倫協に事前に諮るなど手間をかけた仕事だ。私のいた時代は鈴木都政でかなりリベラルで青少年課もその影響を受けていた。今は治安対策であり、取り締まることが目的となっている。

当初は中曽根総理のもとに対策本部があったが後に総務省下に格下げされた。全国で○○県は○○を指定したというデータが集まるなかで、これくらい事態は沈静化しましたよデータを(出倫協から)持って行く。国ではもう沈静化したと思っていても、都道府県、市町村へ浸透するまでは時間がかかるものだ。事務局(非行対策3次官)は警察の指定席で、出倫協から説明しても納得しない。国の人間が説明すると収まる。役人にくってかかる人もいるが、国にデータを出して国から説明させるといった、利用する価値はある。

昼間たかし

児童の人権と表現の在り方委員会の4月申し合わせ案のFAXは雑協から示された直後に流出して、それを記事にしたところ雑協の渡辺さんが怒ったり、小学館の山さんからはお前は味方じゃないのかと攻められたり。小学館に切れまくる人間が出てきて出倫協や雑協が情報を出さないようになってしまった。

(注)外に出す段階のものではない試案を外に出したことは、昼間さんに情報を出さないようにするのは正当な理由であると付記します。

4月の出版倫理懇話会では都から櫻井課長ほか3名が説明会をひらき、都からは自主規制(マーク付き)はちゃんとやっているとお褒めの言葉を頂き、7月以降指定されるであろう本を提示された。以下、オフレコで各出版社の対応。

4月以降、インターネットなどよく分からない危機感をもってメール、電話する人がいるので落ち着いて行動しましょう。

ディスカッション

(長岡)公明党の議員からは、自公民で合意したのに枝野・保坂におじゃんにさせられた、あいつらは国賊だという話があったとい聞いている。

(保坂)一切規制は必要ないという立場ではない。アジアでポルノの被写体として人権を蹂躙されている子どもの保護が趣旨である。早川元議員からはありがたいことに、保坂のぶとがいない国会で児童ポルノ法を議論するなという言葉を頂いた。3号ポルノは規制対象があいまいだ。検閲が禁止されていることをよく知っている規制派は、「悪いようにはしませんから」という考え方で物事を動かし、出版社が意を汲んでどこまでも規制は進むことになる。

(保坂)議論の仕方が乱暴である。この種の領域に対して持っているだけで犯罪だからかばん開けろと命令できる。危険であればどうして文字は対象でないのか、漫画で終わるとは限らない。表現規制は間違っているとする本は有害か?原子力は安全であるという本は青少年に有害か?縦軸、横軸を広げて議論すべき。

(保坂)フィルタリングすると平沢勝栄も保坂のぶとも「政治カテゴリ」に入れられて見れなくなる。1000冊のうち1,2冊悪いものがあるかもしれないから隠しちゃえという考えは、性的な表現に限らない。表現規制の時代が始まりつつあるのかもしれない。

(長岡)'91-'92に都職員に取材した際は「警察がきつく言ってくるので困っている」「通報制度でお茶を濁した」ということが聞こえていた。総務省の青少年対策本部の参事補はもともとマルボウの機動隊に属していた人だけれど、図書規制は分をわきまえていた。今は都治安対策本部になり雰囲気が変わった。

(橋本)今回は警察主導でPTA・母の会の招集をかけて会議を開いたが、昔は逆で母の会からもの申すというのが一般的だった。母の会は警察署に事務所を置く、お母さんというよりおばあさんが協力している組織。青少年移管する育成団体はインターネットで調べたら青少年団体が35、同育成団体が49、全部が全部よかれと思ってやっているんだろうが、子どもの面倒を見るのが好きなおせっかいがいる。県民会議を統括していた国民会議不正経理で解散した過去がある。

(橋本)有害か否かどこで判断するか。昭和30年頃、荒川区婦人会の一人はけいりんは健全娯楽と言った。彼女の家は自転車のフレームを作っていたからだ。そんなのに任せていいのかと思っていたら、母の会の会長になっていた。各県の審議会には新聞社・TV局が入っていて、県条例を作る過程で新聞・TVが規制の対象にならないことが最初から分かっている(からやる気がない)

(橋本)図書を売って良いか悪いかは各地の書店が決めるが、書店は市役所・県庁・新聞・TVといった地元の人とつきあいがあるが、本を出す側の人間とはつきあいがない。地方のメディアはTV、新聞優遇で書籍、雑誌は優先度が低い。

(橋本)子どもは守らないとという考えは、自分が子どもだったときのことを忘れている。それで今の子どもは――という大人に責任がある。

(昼間)規制派VS反対派。今年になって反対する側の内部対立(出倫協VS懇話会)が目立っている。出倫協の中には幼女をレイプする漫画はまずいんじゃない?という奴もいるが、懇話会内部にも都庁に頭を下げる奴もいる。この対立はすぐに解決できる問題でない。ずっとある対立軸ではある。どうすべきか?少なくとも権力側の規制に反対する際は一枚岩で対決する意識が必要。

(昼間)報道するとメール・手紙をすぐに出す人がおおい。ちゃんと長岡さんの本を読んでいるのかなあ。

(長岡)自主規制と権力側の規制の関係、出倫協の防衛策はうまくいくのか逆手に取られることもある。

(橋本)出倫協には懇話会が目障りという印象を持っている。懇話会もマーク付きの書籍は中身を問われないということで確信的な行動を取っている。出倫協の97社がすべて素晴らしい会社ではない。10年前も今日も川上/川中の出倫協と川下の懇話会で対立しているが、一般人にはどちらか分からない。10年前と同じく出倫協は懇話会を目障りと感じているが、その辺の戦術は雑協も下手、心が狭い。

(秘密結社所属杉野)「規制を誘発する」という考え方について。(問題のある書籍が)野放しになっているという見方があるが、出版側の努力が一般人に全く知られていない。コンビニ書籍には2カ所のシールが貼られているとか知って初めて努力しているんだなあ、と分かる。この状況が続くと、この流れはなくならない。

(秘密結社所属杉野)6/20は提出するかも?というところまで行った。民主議員は与党案を飲むかも……という流れで、幸い問題意識を持っている議員がいて一時中断となったが

日本図書館協会の方)書籍を受け止める側として、書店と似た立場である。知る自由と表現の自由は一体だ。官庁の人が多いため反対しづらいが、都条例では敢えて慎重な決議を、と声明を出した。今回の条例は以上であり、児童ポルノの根絶を都民の責務とし、都の指導や立ち入り調査権限、家庭教育の侵害だ。既に性的表現については敏感になっていて、BL表現を排除しているところもある。受け止める側として皆さんと頑張っていきたい。

小学館 漫画編集者)制服着たヒロインがやっちゃうとまずいの?という意識から長岡さんに数週間前に勉強会を開いてもらった。現場としてはどこまで書いていいのか悩む。BLはエッチじゃないから規制外という人もいるが、どうかなと思った。エンターテイメント産業として、「人間にとってイイコト」をやっていきたい。

(@osugi81)都はどこでどういう本を買っているのか、81回の説明会の詳細について情報公開請求を行った。大阪などでは開示されているのに、黒塗りで出てきたので異議申立中。黒塗りの理由として「騒ぎになって電話や問い合わせが(審議会の委員に)届く恐れがある」「不健全ではない書籍に対して不健全ではないかという疑いがもたれ、出版社の不利益になる」と言っているが、情報を隠したいのが目に見えている。

(橋本)情報を出さないということは、やましいことをやってるってことですよ。

(質問)規制推進団体が実物と漫画を混同させる議論を行っていることに対して出版界は何かしないのか?

(昼間)ジュニアアイドルは児童虐待の証拠物という考えを進めている人はリアリティを失ってきている。橋本大二郎氏に児童ポルノを廃止する国民運動にどういう立場で関わっているか質問すると、こいつらに任せたら大変なことになる、単純所持をやるなら定義を狭めなければいけないだろう、児童ポルノで権力の濫用になる、と答えた。ジュニアアイドルについては、出版社があまり稼げないらしいが、出版界として自主規制した方がよい。

(橋本)青少年問題をやる人はさびしいんでしょう。(『大人のおもちゃだった青少年問題』に引っかけて)だから「おもちゃ」なんです。

(昼間)書店はイメージを気にするのですぐに対応する。これからもそういうことをするんじゃないか。逆にビジネスチャンスとして(猪瀬副知事が大好きなあの本を)大量入荷する書店もあったが、冒険する書店は少ない。オフィシャルには1W前に出てくるが、櫻井課長の異動はいまのところない。

(橋本)公取は課長が替わる際に見事に引き継ぎを行っていたが、都庁は引き継ぎ前後で齟齬があった。