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(訳注)日本政府のコメント内容と[Advance Edited Version]に一部齟齬があります。ご注意ください。
日本政府は子どもの権利条約第二選択議定書に基づき児童買春、児童搾取、児童ポルノに関連する問題に心から対処してきた。そしてこれらの問題に対処する努力を継続することを固く約束する。日本政府は児童買春、児童搾取、児童ポルノに関する特別報告者がこれらの問題について日本が取った措置のいくつかを評価したことを歓迎する。しかしながら、日本政府は特別報告者に報告書は事実に基づくよう要求したにも関わらず、残念なことに報告書は日本の実情と日本文化に関して不正確で不適当な記述が含まれている。このような記述は客観的な情報に基づいていない。そのため日本政府はなぜ報告者が日本政府のコメント(訳注:事実に基づくよう)を受け入れなかったのか説明を要求し、報告書に反映されなかった日本政府のコメントと意見を明確にしようと思う。
1.パラグラフ8『しかし、複数の関係者が性虐待や性的搾取の被害児童から集めた情報から、恐怖や偏見、苦情を受け付けるジェンダーセンシティブな機関や紹介メカニズムへのアクセス方法が不足していることにより、虐待を報告し支援を求めるには消極的な男子がいることも理解している』:少年サポートセンターや警察署の経験を積んだ少年指導課の職員やカウンセリングの専門家によって、警察は未成年の犯罪被害者とその家族に必要な助言と指導を提供している。被害者が職員と話をする際にリラックスできるようにカウンセリングルームは防音対策が施されhttp://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/RegularSessions/Session31/Documents/A.HRC.31.58.Add.3_E.docxている。警察はまた、アクセスしやすいように、無料電話もしくは電子メールによる「若者電話コーナー」と呼ばれるカウンセリングサービスを提供している。警察は児童から多くのカウンセリングを受け付けている(2014年は6017件が少年から、7418件が少女から)ので少年がサービスにアクセスしづらいとは考えていない。*1
2.パラグラフ9『「援助交際」はブローカーや仲介人なしで行われている』:「援助交際」は”しばしば”ブローカーや仲介人なしで行われている。とすべきだ。
3.パラグラフ9脚注7:米国務省の人身売買報告書は米国務省独自の評価に基づいて書かれているため、公式の国連の報告書で本文書を引用することは不適切である。
4.パラグラフ10『「JKビジネス」を評判の高いバイトと考える12歳から17歳までの少女の間では、「JKビジネス」はまれなことではない』:本記述は、小中高の少女を対象にした適切な方法による調査結果といった客観的な情報に基づいていないようだ。国際社会に小中高の少女に対する誤ったイメージを送るため、日本は本記述を受け入れられない。
5.パラグラフ15『契約の存在が捜査を阻害し、起訴を困難にしている』:日本政府は契約の存在が捜査や起訴を困難にするという状況を認識していない。
6.パラグラフ17『にもかかわらず日本人は児童買春ツアーの需要の供給源であり続けている』および脚注11:日本政府は本記述で示される状況を認識していない。また、米国務省の人身売買報告書は本記述の根拠を示すものではない。重ねて言うが、米国務省の人身売買報告書は米国務省独自の評価に基づいて書かれているため、公式の国連の報告書で本文書を引用することは不適切である。
7.パラグラフ17脚注13:米国務省の人身売買報告書は米国務省独自の評価に基づいて書かれているため、公式の国連の報告書で本文書を引用することは不適切である。
8.パラグラフ18『沖縄県は特に貧困の影響を受け、高い失業率・離婚率・十代の妊娠率を有している。経済的困難への耐乏と結果としての家族の弱体化は特に児童を脆弱にし性的搾取へと送り込む』:「貧困と高い失業率、離婚と十代の妊娠率」が沖縄の児童を脆弱にして性的搾取へと追いやる原因であるという主張に論理的な説明を可能とするデータや情報がない。
9.パラグラフ19『「ジュニアアイドル」は十代に人気があり、巨大市場を形成している』本記述の前半は適切な方法による調査の結果としての客観的な情報に基づいていない。後半もまた市場サイズに関する客観的データに基づいていない。*2
10.パラグラフ19『児童の性的搾取の需要側が見過ごされている』:需要側が見落とされているとする本記述は事実でない。なぜならば、警察が犯罪者を逮捕したり起訴したり起訴して検察庁に送致された際にマスメディアに適切な告知を行い需要側に警告しているからだ。*3
11.パラグラフ24『国際人権規範によれば、任意のポルノ表現は描写された児童が実在であれ仮想であれ児童ポルノである』と脚注16:脚注16で参照される文書についての日本政府の立場は以下の通りである。政府は国際人権基準を構成する文書群は明確でないと考えている。
a)子どもの権利条約第二選択議定書article2(c):「児童ポルノ」に仮想の児童は含まれないと考えている。
b)サイバー犯罪条約article 9-2 c:article 9-4により締約国はarticle 9-2cを保留することができる。日本政府は条約を締結した際にarticle 9-4に基づいてarticle 9-2cを適用しない権利を有する。
c)性的搾取および性虐待に対して児童を保護するためのEU条約article20.2:条約の関連規定はほとんど選択議定書と同様である。
d)インターネット上の児童買春、児童搾取、児童ポルノの特別報告者の報告書(A/HRC/12/23,para 124(b)(iii)):特別報告者の報告書は報告者の個人的見解や意見にすぎず、国際人権基準を形成していると考えることができない(訳注:報告書A/HRC/12/23はサマリーによると2008年の第三回子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議のcontextに基づいています。日本政府はこう仰いますが世界会議は国際ECPATとUnicefの共催のようなものですから、主流筋の国際人権基準はECPATの資料に基づきVirtual Child Pornographyを児童ポルノと認識しているでしょう)。
12.パラグラフ26『更には2号および3号の「性欲を興奮させ又は刺激するもの」は限定的に解釈され、極端な場合適用される』:正しくない。第二条第二条第3項2号及び3号で定義された児童ポルノに関する例を含めて当局場適切に処罰条項を適用している。
13.パラグラフ26『特別報告者は本定義は選択議定書第2条(c)よりも狭いと指摘する』:日本政府は「児童ポルノ」の定義は選択議定書と適合していると考える。選択議定書の「児童ポルノ」の定義にある「主に性的な目的で」は児童買春・児童ポルノ禁止法の「性欲を興奮させ又は刺激するもの」と同じ意味を有している。
14.パラグラフ28『児童福祉法は児童を18歳未満と定義している。性交同意年齢が13歳であることは児童に対する性犯罪の訴追を困難にする主要な一つである。民法は成人を20歳とし、児童保護法で守られない18歳、19歳との間で社会保護上の隙間を作っている』:事実ではない。児童福祉法、児童買春・児童ポルノ禁止法および諸条例は児童の合意に関わらず18歳未満の児童に対する性行為を処罰する。それゆえに、法制度全体では、13歳以上も含め18歳未満の児童の保護が確保されている。児童福祉法の範囲は18歳未満だが、18歳以上が法的に保護されないということは意味しない。刑法および関連する法律が性的搾取に関する罰則を提供している。児童福祉法は特に、18歳未満はなおさら保護されるべきであるため、特別に禁止規定を入れたものである。
15.パラグラフ28『法律が禁止している事項であるにも関わらず(パラグラフ34のように)児童は児童エロチカ、「JKサービス」や「ジュニアアイドル」のような児童に害のある商業活動から守られていない。改正されるべきである』:有害な活動からの児童の保護は児童福祉法第三十四条第一項九号で保証されている。
16.パラグラフ28『同様に、児童保護は児童虐待防止法第二条二と第三条における児童虐待と関連する加害者の狭い定義の改正で強化されるだろう』:同法の第三条では「何人も、児童に対し、虐待をしてはならない」と規定ている。また、第二条で定義された保護者からの児童虐待のみだけでなく、児童の福祉を傷つけることに繋がる行為または不作為もを禁じている。同法の禁止行為は児童に無理矢理児童の福祉を傷つける商業活動に従事させることもまた含んでいる。加えて、保護者であるか否かに関係なく、加害者は刑法や関連法規によって処罰をされる可能性がある。
17.パラグラフ19『「JKビジネス」の全てが風営法の対象であるとは限らないため風営法第二十二条第三項(風俗営業を営む者は十八歳未満の者に客の接待をさせてはならない)は「JKビジネス」には適用されない』:風営法第二十二条第三項が「JKビジネス」に適用されないという主張は誤りである。すべてのJKビジネスが風営法対象の施設ではないという記述は事実であるが、風営法第二十二条第三項を「JKビジネス」に適用した例がある。法を適用するかどうかは事業形態による。
18.パラグラフ32『児童相談所は設備や専門スタッフが足りないと批判されている。児童相談所のための管理ガイドラインが存在するにもかかわらず児童の参加措置を組み込めていないとも批判されている』:児童相談所が児童虐待の被害者への支援を提供する場合、専門のスタッフ(例えば、児童福祉担当者、児童心理学官、精神科医)が個別に専門的なサポートを行う。児童相談所の管理ガイドラインは業務上の考慮事項の一つとして「児童と保護者の意見を尊重する」と記している。*4
19.パラグラフ34『内閣府が2010年に採択した「子ども・若者ビジョン」は児童の性的搾取について限定的に言及している』:「限定的に」という用語の意味は明らかではないが、日本政府は必要な措置が「子ども・若者ビジョン」に含まれていると認識している。加えて、今年の二月に新しく採択された「子供・若者育成支援推進大綱」では児童の性的搾取についての日本政府の政策を広範囲に参照している。
20.パラグラフ38『また国際的な圧力が児童虐待物との闘いに注目を向ける役割を果たし、児童買春を減少させたと考えられている』:事実でない。警察は積極的に児童買春事件を捜査してきた。
21.パラグラフ40『。被害者の年齢がいつも分かっているわけではなく年齢を鑑定することが困難であることから研究者や検察が児童ポルノに取り組みたがらないと批判を受けている。報告者はこれらの困難を克服するため積極的な捜査と訴追を行うことを法執行機関や検察官に呼びかける』:警察や検察は写真に示された児童が特定できない場合でも石による年齢鑑定を通じて被害者が児童であることを証明することにより積極的に捜査、起訴を行ってきた。よって、児童ポルノへの取り組みに消極的であると非難されていない。
22.パラグラフ41『特別報告者は児童の性的搾取に関連する犯罪のおいて懲役刑が執行されない率が高いことにつじて懸念を表明する。彼女は犯罪の不処罰を避けるために有罪判決の完全な実施を確保することを司法および関係当局に要請する』:日本は行為が犯罪行為を構成するか否かだけではなく、その起訴または非起訴または裁判の量刑の決定することの重大性から、それぞれ具体的な事件において収集した証拠に基づいて決定されるべきであるという見解である。児童性的搾取については、日本はそれらの犯罪の深刻さを考慮に入れてそれぞれ具体的なケースにおいて厳格な行動を取っている。日本における執行猶予とは、懲役刑などを宣告する際に状況に応じて一定期間の刑の執行の停止を可能にするシステムである。執行猶予の期間内に更なる罪を犯した人は、刑の執行停止が取り消されることに加えて刑の執行期間が延長されて収監されます。それゆえに(訳注:執行猶予を)「不処罰」と見なすべきではない。*5
23.パラグラフ49『また提供されるサービスは児童のニーズに適しておらず、スタッフは充分に専門的な訓練を受けていないと指摘した。性的搾取の被害者はしばしば非難され非行少年として扱われる。被害者としての事情はしばしば拒否され、結果適切なサポートへのアクセスは否定される』:児童相談所は性被害の程度に応じて児童福祉司や児童心理学の担当者、精神科医による専門的な支援を提供する。また、児童相談所は医者、看護師、精神科医を雇う場合があり、性虐待の被害者に心のケアを提供している。児童相談所のマネジメントガイドライン(P8-9)は処置する際の考慮事項として「児童と保護者の人権を尊重し」「児童の最善の利益を優先する」「児童と保護者の意見を尊重する」と述べている。加えて、児童相談所は医療、心理学、教育学、社会学、精神的健康の視野から必要な調査や判断に基づいて支援を提供するという方針を決定する。児童相談所の支援は児童の意見を考慮して個別に実施され、支援は児童を批判することを意図していない。日本司法支援センター(JLSC)は性虐待や性的搾取の被害児童を含む犯罪被害者と接触する際の適切な注意点と関連する法律に関する情報を提供する。JLSCは犯罪被害者に弁護士を紹介することができる。JLSCでは専門的かつ適切に訓練されたスタッフと弁護士が犯罪被害者を支援する。スタッフは二次被害を防ぐための特別な訓練プログラムを完了している。弁護士の紹介に関しては、犯罪被害者の弁護士は弁護士会の犯罪被害支援パネルのリストに登録されていなければならず、犯罪被害者の支援に関連する経験と知識を持っていることが必要である。
24.パラグラフ50『被害児童もしくは親が苦情を申し立てなければ児童相談所は警察に報告することができる。ほとんどの犯罪者が処罰を免れることが児童相談所のスタッフが直面する主な課題の一つである』:事件を訴追することが現在の状況に対する正しい認識と児童に力を付けさせることに繋がるときはいつでも、児童虐待の治療のためのガイドラインに基づき児童相談所は保護者による児童虐待行為の訴追の可能性を警察や検察と議論する。「犯罪者のほとんどは処罰を免れる」と述べた部分に関しては証拠がなく検証がされていない。加害者が処罰されるかどうかにかかわらず児童相談所は必要な支援を行う。
25.パラグラフ51『ケースワーカーは性虐待、性的搾取の被害児童を支援するための十分で専門的な訓練を受けていない。スタッフを選別するシステムも存在しない。ケースワーカーの専門的な訓練の欠如は児童の信頼を得るための能力に影響を与える。結果として児童相談所の支援サービスを拒否されることもある』:ケースワーカーは専門家として採用されている。毎年、中央政府が支援する研修期間は専門家や臨床医を招いて子どもの権利の観点から一時シェルターや児童福祉施設の職員に評価、理解、性的な問題への対処についてセミナーを行っている。加えて、児童相談所の職員は地方政府が確立した能力評価システムに基づいて評価される。これらの事実に基づき、本記述は適切ではないように見える。*6
26.パラグラフ51『児童相談所が運営する一時シェルターはしばしば満杯である』:2014年度、平均占有率が100%を越える一時シェルターはわずか9%に過ぎず(児童相談所の7%)全国的な傾向であるとは言えない。*7
27.パラグラフ51『13歳未満の児童は年長の被害児童を犠牲にすることで優先に受け入れられている』:一時保護は年齢に関係なく緊急性と保護の必要性に基づくものであり、年齢には関係ない。*8
28.パラグラフ54『ワンストップ危機センターが女性のものであり児童や少女のものではないことを強調する』:事実に基づいて『ワンストップ危機センターが主に女性のものであり児童や少女のものではないことを強調する』に修正すべきである(訳注:[Advance Edited Version]では焦点を当てるに変更されています)。一方で、日本政府はパラグラフ53が示すとおり(983名の被害者のうち9%が9歳以下で53%が未成年である)、SACHICOが受け入れた被害者の半分が児童であることを付言したい。
29.パラグラフ59『また、子どもの権利の視点とジェンダーセンシティブなアプローチはケースワーカーの研修や訓練に導入されなければならない』:子どもとジェンダーの権利保護については、里親家庭が管理ガイドラインを作成し、スタッフは子どもの権利の保護について訓練するセミナーおよび性教育の教え方を学ぶセミナーを受講するよう定めている。また、児童の自立を支援するための国家施設では、児童相談所や児童福祉施設の職員のために児童の権利保護を含むさまざまなテーマの訓練セミナーが体系づけられている。政府は児童の適切なケア、健全な成長と自立などを確保すべきであるとの考えを明確にするための児童福祉法および関連法令の改正案の提出を準備している。