ないちち愛好家ことおーじ氏原画の同人ゲーム。先行編で流れた「どうしよう。あたし、彩音先輩のこと嫌いになっちゃった」がど〜ゆ〜流れで発言されるんじゃあっ! てぇのが気になって購入していたもの。6月期(『夏音〜June〜』)では鈴菜(ヒロイン)の一人称で進んでいたのに、本作になって野郎が主人公となり、普通のエロゲに成り下がってしまった感じだ。ルート分岐でヒロイン(彩音)の性格が180度違っているような矛盾を生むくらいならば、Ringでも鈴菜視点で進めてしまった方がよかったのではないだろうか。
本作では彩音ルートと鈴菜ルートとの分岐があるが、分量的に言っても彩音ルートはおまけに近い。世間一般では「優れている」とされる未来のレールを蹴って好きな人と過ごすことにした、というまとめてしまえばありきたりのパターンだ。
一方の鈴菜ルートは「なんだかんだいって、お金とか原資になるものがないと結婚なんてできないのよね」「人と人との距離はできるだけ離れていた方がいいんだ」「負け犬が女に慰めてもらおうとでも思ってるの」など痛烈な台詞が多い。これはファンが付かなかったわけだ……。
後半部分ではふとしたきっかけでぎくしゃくしてしまった恋人・友人間の距離を元に戻そうとして更にぎくしゃくしていく悪循環パターンを描いている。これBADENDになってないかと疑いながら進めてああBADENDが正ルートなのねとそうなんだと確信した矢先に<機械仕掛けの神々(デウス・エクス・マキナ)>でハッピーエンドになるため減点気味。いっそBADENDでもいいのではないかな、と思う。ヒロインが突然主人公に告白する理由が本編で説明されない(多分嫉妬だよね?)ため読解力を必要とする一方で、ラストのわざとらしい言動をヒロインが気づいても指摘しないあたり、難易度調整に失敗している感あり。
おまけのドラマCDはわけがわからん。ライタさんーは何を考えているのだろう。