晴れときどきお天気雨 雑感

適度に配置された伏線から展開される奇をてらわず王道をまっすぐ進むシナリオ。本作は美少女ゲームのお手本として教科書的に参照できる作品でしょう。あるいは凡庸を突き詰めることでどこまで至れるかを探る良作と言えるかもしれません。

システム面はふつー。わりと珍しいと思ったのはバックの立ち絵があることですね。たったこれだけで(主人公以外の)キャラクター同士で掛け合いをしているという感覚が強くなります。汗やビックリマークが日常シーンで使われる一方でシリアスなシーンでは使わないのもにくいところです。キャラクター分岐の選択肢はキャラクターごとに1つ。「冒頭にあるキャラクターの回想シーンが出たら、そのキャラクター専用シナリオへ分岐する選択肢が出現する」という分かりやすいものです。

攻略キャラクターは4名。専用シナリオへ分岐する選択肢が出てくる順に粗雑な扱いとなります(爆)。絢音シナリオはテンプレで特に言及する点もありません。水希シナリオはバカップルな言動がなんとプレイヤーの精神力を削ります。そして一押しのなずな。エロかわいい実妹キャラは凶悪だ。娯楽として許容される範囲の背徳感で攻めてきます。最後は色々とご都合主義に陥りますがそうしないと娯楽にならないのでそこはしょうがない。そしてTrueルート。起承転結をサブヒロインとの関係性と結びつけることで王道のシナリオが無理なく終わりへと導かれてゆきます。展開が最初から分かっているのに泣かざるをえない。ヒロインが空気?いいんですサブヒロインがかわいいから。

久しぶりにエロゲーを半徹でプレイしました。しかし発売から半年経ってやっとプレイしているって……

あなたの願いは何ですか?

人と人が想いあうことで未来が作られてゆく。言われてみれば当たり前だけれど、自分の想いはよく分からないし、他人の想いはもっと分からない。ひとの願いを叶えてくれる”神様”はこの世界にいない。”神様”のいないこの世界では互いに反する2者の願いがぶつかって争いを生み、”神様”みたいに他人のことを自分より優先してしまうようなひとが傷ついて。僕たちは敗者という名前の”神様”をみじめとわらう。そんな世界に僕たちは生きている。そんな世界が僕たちの作った世界。