CODE AGE COMMANDERS 批評と感想のはざま


ラジアータ・ストーリーズその他に絶望してもうRPGなんてしないと思った。その一方で、そんな決意は一ヶ月もたないんだろうなあとも思っていた。結局のところ後者の欲望の発言が理性を駆逐した。先週買ってきて昨日終わらせた『CODE AGE COMMANDERS』はARPGなんだと言い訳してみようとするけれども、RPGには変わらないから言い訳にもならないだろう。


世界を仕組みを司る『セントラルコード』が数万年に一度引き起こす世界崩壊と世界再生(『リ・ボーン』)から逃れるため、人類はリボーンの影響を受けないセントラルコードの間近に『方舟』を建設して、そのなかで眠りについた。しかし、設計のミスか方舟は崩壊してしまう。最初の方舟落下から約100年後のC.A.0099、最後の方舟が落下した。目覚めた主人公『ジーン』は、崖下で未知の生物『コーデッド』が白のコーデッドと黒のコーデッドに分かれて争っている光景を目にする。そして彼自身もいつしか半人間の存在『ウォーヘッド』に変化してしまっていることを知るのだった。目覚めたばかりで目的を持たないジーンは、自身と同じ方舟に乗っていた姉『アリーズ』を探す旅へと出発した。


と聞くと何となくよさげなストーリーであるし、昨今少ないARPGである。とどめに40に達する戦闘エリアというパッケージの煽り文句を見て我慢できなくなってしまった。ヨドバシカメラで流していたムービーで緑川光の声が聞こえてきたことで概ね駄目な作品だと見当も付いて、下手に期待感を持ってやるよりかはいいのではあるまいかと思ったことも大きい。無駄に声優を使う作品は駄作だと言っていいだろう、そうではないか?


まずストーリーについて。この作品はリボーンに対する人類の反抗というテーマが基調に置かれている。リボーンは世界の仕組みを決めるセントラルコードの行為であり、神への人類の反抗と言い換えることができる。ジーン編は家族の葛藤を絡めつつ、不器用ながらも作品のテーマに真正面から取り組んでいて好感が持てる。


ところでストーリー紹介で「ジーンは、崖下で未知の生物コーデッドが白と黒の二つの軍団に分かれて争っている光景を目にする」と書いた。ゲームではこの抗争を白と黒、それぞれの側から目撃することになる。ネタばれになるが、黒の群の首領は自分という領域の拡大を、白の群の首領はただ一人の自分という領域を守ることを意図している。これらは神への人類の反抗という作品テーマと繋がっていないため、ゲーム中で黒の理念を黒の構成員が否定し、白の理念は白の構成員が否定してしまうため、ゲームから遊離してしまっている。であれば、白黒の群の抗争を描く必要があったのだろうか? ゲームの尺を長くするためであれば、ゲーム全体のテーマに絡めて展開して欲しかった。


エンディングのまとめ方も、マトリックス後としては問題がある。「ウォーヘッドは子孫を残すことが出来ない」という設定がある。これを解決することも主人公たちの目的となっているのだが、ゲーム中で示される答えは「自らの情報を複写した『外務記憶装置』という電子的方舟のなかで楽園を築く」ことである。本当の自分の体が外部にはないことを除けば、まさしくマトリックスの世界である。電子的方舟はマトリックスが否定したものであることは言うまでもない。


次に戦闘について。パッケージには40近くの戦場と書かれていたが、これは誇大広告というものだ。部隊の配置でバリエーションを作っているため、戦場マップとしては十数個となっている。例えば無双シリーズで同じ戦場マップに曹操軍シナリオと劉備軍シナリオが存在して敵が違うようなものだ。コーエーならともかく、SQUARE-ENIXがこれとは。JAROはゲームの誇大広告にも対応してくれるのでしょうか。


戦闘の中でもARPGの華といえばアクションだ。ところが、このゲームでは「ダッシュ・攻撃・相手ピヨル・必殺技」を繰り返すだけでゲームを進めることができる。1対1で負けることはまずありえない。ただし、敵複数に近寄られてのリンチを受けた際には、この戦法では自キャラはあっさりピヨってそのままゲームオーバーとなってしまう。もっとも、こんな状況になるのは中盤のとある戦場くらいのものだが。この場合も、魔法で一対一に持ち込んで以下略でなんとかなるため、戦略性は乏しいと言えるだろう。


目玉の一つである暴走状態が戦略性の乏しさを助長する。一、暴走するとHPが全回復する。二、暴走中はじわじわとHPが減っていくものの無敵状態であり、かつ、近くにいる敵にダメージを与えられる。三、キャラクターが成長すれば、暴走状態で敵にダメージを与えるられるその上に、通常攻撃によるダメージも加算することができる。四、結果として、一度暴走してしまえばボスキャラでさえ物の数ではない。なんだそりゃ。


以上を勘案すると、及第点は与えられない。『ラジアータ・ストーリーズ』からすれば大分進化したなといったところではあるが、クソゲー以外の何物でもない。。主人公の声優がラジアータの主人公であること、リボーンがラジアータのストーリーと通じるところを勘案すると、シナリオを書いたのは同一人物ではなかろうか。初めから同一人物だと知っていれば買わなかったのに。


(2005年10月22日の投稿を一部修正して再掲載)