1998年付近の整理

まず1997年、アイルランドの司法省のプロジェクトILLEGAL AND HARMFUL USE OF THE INTERNETのなかでアイルランドのコーク大学のTaylor教授などが1997年7月から11月にかけて調査を行い、インターネットのchild eroticaとchild pornographyのうち73%は日本のサイトであるという結果を提示します。これは全世界を合わせて238サイトという小規模な研究であり、child pornographyだけでなくchild eroticaも含んだ数値であること、女児が被写体であるもののみを抽出したものであることに留意してください。

日本国内では1997年12月、警察庁によるサンプル調査が行われます。サーチエンジンに登録された国内で開設されている632の有料ポルノサイトのうち成人とみられる被写体が373サイト、中高生とみられる被写体が213サイト、小学生以下とみられる被写体が46サイトという結果です。残念なことに、どのように年齢を見分けたのかは不明です。インターネット白書'97によると当時、3000サイトの有料ポルノサイトが存在したため、単純にかけ算をすると1800が成人、1200が未成年とみられる被写体という計算になります。

1998年5月、フランスのリヨンでInterpolの会合がECPATと共同開催されます。ここでGTO弁護士がぼこぼこに叩かれたのは周知の通りです。

同年12月4日と5日、ユニセフグローバルフォーラムin東京が開催されます。主催はいつもの面々ですが、この会合のなかでInterpol担当官(Ralf Mutschke)がインターネット上の商業的児童ポルノの発信元の80%を日本が占めると発言したとされています。幾つかの資料が示すように割合には微妙な違いがあり、日本「起源」「製」「発」のどれなのか今ひとつ不明です。なお、日本が児童ポルノの80%を製造という海外の報道はすべて本会合についてのAsahi Evening Newsの記事に由来しています。

1999年のCOPINE調査では、USENETに投稿された児童エロチカ(not児童ポルノ)画像の2/3は日本語表記されていることから日本発であることが分かるとされています。しかし児童ポルノの多くはヨーロッパ産もしくはアジア人を描いているとの調査結果が出ています。

なお、1998年のIWFの年次報告(つまり1997年の数字)では日本は19%、1999年の年次報告では11%。テレファノ・アルコバレーノの1999年の年次報告ではアジア(ほとんど日本と考えてよい)が20%となっています(togetter参照)。また、CyberAngelによると40%。コーク大学やInterpolの数値との違いはchild eroticaを含むか否かにあると思われます。