誰しもそうだけど、俺たちは就職しないとならない

オーフェン秋田禎信の新刊。毎度のことながら、どうして富士見はメインの書き手を放出してしまうのか。電撃文庫メディアファクトリーのように大人向けレーベルをさっさと作ればいいのに。
閑話休題。この本は大まじめに不真面目なことごとを書き綴った随筆風小説である。雰囲気としては森見に近いが、はふはふとした黒髪の美少女は登場しない(残念)。
大学四年の夏に就職を思い立った「俺たち」は、就職しないとならないため就職活動を始める。膝をつき合わせて就職について語る姿は実に「論理的」であるのだが、結論から選び出した面接先はことごとく変な企業ばかりだ。会話のテンポもよく、そこかしこにネタが仕込まれている。通勤中の電車で腰を曲げて頭を抱えて笑い声を押しとどめた人間を昨日見たとしたら、それは私である。
万人にお勧めできる作品である。ただ、オチが弱いため減点1。