美少女ゲームにおいて、ヒロイン同士の友情は禁則事項です
リトルバスターズの共通ルートは面白い。ミニゲームあり、複数キャラクターによる掛け合いあり、ヒロイン同士の友情ありと、文句ないできだ。ところが、個別ルートに入った途端にプレイヤーは寂しさを感じてしまう。共通ルートで仲良くなったはずの他ヒロインがほぼ出現しなくなってしまうためだ。
個別ルートはヒロイン個人に密着したシナリオのため、選択されなかった他ヒロインが出てこないことには一定の留保を付けてもいいだろう。それでも寂しく感じてしまうのは、リトルバスターズが美少女ゲームの一般則を破っている作品であるためだ。
一般的に主人公とヒロインの関係は1対1であり、ヒロイン同士のつながりはゼロだ。個別ルートになり他ヒロインが出てこなくなっても、これならば違和感がない。ところがリトルバスターズではヒロイン同士の友情を描いているため、個別ルートで他ヒロインが出てこない理由を作る必要があったのだ。
例えば『プリンセスうぃっちぃず』においては、共通ルートは人間界、個別ルートでは魔法界と舞台が分けられている。そして、ここが肝なのだが、魔法の世界における王女様「だけ」に個別ルートが作られている。魔法界で魔法界のプリンセスが活躍して何の不都合がある?
残念ながら、リトルバスターズではそういった理由が見えてこない。*1
個別シナリオについて
ライターごとの担当シナリオは以上の通り。城桐央さんの描くキャラクターは萌えますし、これまでKeyになかったタイプの不幸に新鮮味があります。ただ、いかんせんオチが超展開なのが難です。樫田レオさんはまあ順当。良くも悪くもこれまでのKeyを守ってますという感じです。都乃河勇人さんは構造しかありません。鈴とならびメインヒロイン級であるはずの小毬シナリオはリトルバスターズの個別シナリオで最悪の出来です。話中で「選択すると不幸になる選択肢」を予め提示するような真似は二度としないように。一方の姉御シナリオはかみかみ神谷の凸凹にゃんにゃんにあるように全クリア後に見直すと新たな発見があったりするのですが、結局のところ構造しかない気がします*2。麻枝准さんは相変わらず極悪です。泣かせるべきところで容赦なく畳みかけてきます。
Keyの今後について
前情報なしでも麻枝准さんが関わったのがどのシナリオか明々白々なのが今後に不安を感じます。今後もシナリオ統括はやるというお話ですが、本作の出来を見ると、統括だけでどうにかなるレベルとは思えません。
次の作品がファンディスクだったり、次の次あたりで麻雀作ったりしたらKeyは終わりだと思う今日この頃。