プリズム・アーク

1.物語構造について


プリズムアーク(以下PA)のシナリオ上の最大の問題点は単一型の物語構造を選択したにも関わらず、ヒロインの攻略順序を設定してしまったことにある。以前に説明したように、攻略順序の設定は謎を提示する個別ルートと謎を解決する個別ルートで階層化するための作法である。しかし、単一型の物語構造を選択してしまったがために、初回ルートで明かすべきでない情報(究極天使の正体、戦争の黒幕)までもプレイヤーに与えてしまっている。単一型を選択したからにはいっそのこと全ての情報を初回プレイ明かすくらいで丁度よいのだが、思い切りが悪く一割の雑多な謎を明かそうとしないのも後味が悪い。


垂直型に構成し直した場合の物語構造は次の通り。


  • 第一層(聖地奪還END):プリーシア、華鈴
  • 第二層(三賢者撃破END):シスターヘル、フェル
  • 第三層(神撃破END):リッテ、フィーリア
  • サブヒロイン:神楽


第一層では聖地を奪還したところで物語が終わるようにする。ただし、騎士学校陥落から聖地奪還までの間にシナリオを一つ追加してシナリオの厚みを補充する。第二層では三賢者を撃破するところまで。第三層でPAのエンディングへ。神楽は水平型として見た場合に一人浮いているのでサブ扱いにして、ファンディスクで個別ルートを用意すれば充分ではないかと思う。

2.感想


個別ルートに特筆すべき点なし。生徒組以外は恋愛の発展が急の印象あり。CGはただ、ただ、美麗の一言。個人的にはここまでウェストが細くてバストがあるのは俺的閾値を超えてますが。あと、立ち絵と一枚絵で明らかに違う人が二人もいるのはどうかなと。音楽に関してはどの曲も素晴らしい出来でエロゲ最高峰の品質だ。ただ、レベルを合わせてないので、曲毎に音量を変えないとちょうどいい音量で聞けないのが残念。システム周りでは音量調整が五段階しか出来ないことが難点。「声が出ている間はBGMを小さくする」オプションもBGMが聞き取れなくなるくらいに小さくなるので使いづらかった。RPG部の読み込みに10秒かかるのはプレイ上最大の障害だった。総合では佳作といったところ。シナリオが足引っ張ってます。



データ

原画大野哲也
シナリオ亜麻矢 幹
音楽OdaikeS