少年保護育成条例改正骨子案に関して意見する
(2) 社会環境の整備関係
ア)有害な営業への対応
・有害広告ビラの戸別頒布を行った広告主に対して、以後の頒布行為の中止を命令について
一般に広告主と頒布者は別事業者であり、頒布者の違反行為に対して広告主に責任を課すことは過大な連帯責任である。本来罰すべき者を罰さず、連帯責任を別事業者に押しつけることについては反対である。
(2) 社会環境の整備関係
ア)有害な営業への対応
(イ)有害指定基準の追加について
犯罪や自殺等を誘発助長するものを有害図書類の指定基準として加えるとのことだが、これらが創作物が青少年に直接的に影響を与えるという説(強力効果説)は否定されている。また、誘発助長という表現は曖昧であり、基準が明確でない。そもそも施行規則に記載されているのであれば条例に記載せずとも運用上なんら変更ないのであって、この提案そのものが不自然である。
(3) 健全育成阻害行為の制限関係
(ア)保護者による深夜の連れ出しへの対応
(イ)個室営業への規制について
総則にあるように青少年の定義が12歳〜18歳から0歳〜18歳に変更されている。娯楽・遊興目的とあるが、たとえば会社の飲み会に子どもを連れてくるようなケースはどうなるのか。そもそもこのような戒厳令に似た治安立法が青少年保護育成条例に含まれていることが間違っている。(ア)については改正内容から外し、(イ)については保護者同伴の場合を条例の例外として認めるべきである。
(4) インターネット環境の整備関係
ア)フィルタリングの徹底について
「事業者は、フィルタリングの必要性等について保護者に説明」とあるが、フィルタリングは十全な技術ではない。現行のフィルタリング技術は未熟であり、青少年の知る権利を奪うことになる危険がある。保護者に説明すべきは「フィルタリングの利点と欠点など」である。
「保護者が青少年の携帯電話のフィルタリングを解除できる理由を限定した上で、解除する場合は、事業者に理由を申し出」とあるが、行政府フィルタリングを解除できる理由を限定することについては、恣意的な理由を列挙する恐れがあるため、青少年の知る権利を奪うことになるため反対する。
「事業者は、保護者の解除理由について契約期間内は記録保存」する必然性が全く説明されていない。前項と合わせて考えると青少年が保護者の解除理由に沿わない使い方をしていた際に保護者を罰することを考えているとしか思えないが、保護者の責務としては過大に過ぎる。同内容について反対する。
(4) インターネット環境の整備関係
(イ)有害サイトや生活習慣の乱れへの対応
(ウ)事業者に対する措置
事業者に対して過大な業務が発生するため反対する。
(1) 総則
(イ)基本理念
「少年は健全に成長し、自立した社会の一員となる存在である」との基本理念は間違っている。”自立した社会”の一員、つまりは社会の歯車になれと教えるつもりなのだろうか。また、健全に成長できなかった少年は社会の一員として存在できないと言いたげである。きわめて問題のある文章である。
「少年は成長したのち社会の一員となる、自立した存在である」に改めるべき。
(1) 総則
(ウ)関係者の責務
b 保護者の責務に「少年の健全育成に関する第一義的責任の自覚」とあるが、条例で人の内心を規定することはきわめて異常である。「青少年の基本的な生活習慣や規範意識の習得」は一見文句がない美辞麗句であるが、保護者に責務として課すことについては個人の自由権を侵害していると言う他ない。
c 県民の責務d 事業者の責務についても個人の内心や自由、事業者の事業を過度に縛る内容であり、特にインターネット環境の条例に現れているのであるが、この条例の成立意図として「民(県民)はお上(県)の指示するとおりに動くべき」という考えがあることが透けて見える。
本条例の改正骨子案は青少年保護育成条例の名を借りた治安立法であり、県民の自由を過度に縛る反民主主義的な内容であると言わざるを得ない。本条例の改正骨子案は撤回し、メディア受容論の発展内容と個人の自由を取り入れた形で条例そのものを再出発させるべきである。