以下ではエコーニュースの記事について誤解を招く箇所を青色、曲解と思われる箇所を赤色で示します。

仁藤夢乃氏 フィリピンで講演。秋葉原メイドカフェの写真を根拠に「日本の女子は貧困に苦しみ、売春を余儀なくされている」と強調

JKビジネスの専門家*1、仁藤夢乃氏が「School Girl for Sale in Japan (日本では女子生徒が売りに出されている)」という英語ニュースの報道で「秋葉原では2メートル間隔で女性が立っている」と述べて秋葉原を売春のメッカとして説明していたことが記事から分かった。

また同氏はフィリピンまで行って、メイドカフェなどが秋葉原で客引きをしている年齢不詳の写真を使いながら、日本の児童のうち6人に1人が貧困であることと、児童買春の問題があることなどについて講演会を行っていたことも本人の8月1日付けブログとツイッターから判明。

この写真は通称秋葉原(東京都千代田区外神田1丁目)を映したものであり、かつて仁藤氏が日本外国特派員協会でも日本の児童買春の証拠として使っていたものである。

フィリピンでの講演内容の子細は不明であるが、ツイッターとブログでも本人がアップしている写真からすると、日本外国特派員協会で使用した写真の使い回しであり、予備知識がよほどないと日本が児童買春大国であるような印象を与える。

そして写真の問題点は、「まるで街娼の客引きに見えるが、実は全然そうではない」という点だ。というのは、ここは単なるメイドカフェやJKカフェの客引きがほとんどで、買春とは関係が薄いのである。そもそもこれらの女性従業員は(一部において、違法な買春行為をしているJKビジネスが存在しているものの)児童でもない場合が多く、売買春とも無関係なことが多い。この点において、今年5月の日本外国特派員協会記者会見で仁藤夢乃氏に質問したが、年齢の統計はないと本人が明言している(動画リンク参照)*2

なのにこの写真を根拠とした仁藤氏のプレゼンを取り上げて、複数の国のメディアで「児童買春の証拠」として報道されてしまった問題が発生している。*3

具体的にはドイツRTLが一例で、またなぜかジャパンタイムズでも記事がある。(日本に拠点があるのに、JKビジネスの従業員が女子高生と限らないくらいのことをジャパンタイムズの記者は分からないくらい、無分別なのだろうか。それともセンセーショナルに確信犯として書いているのだろうか*4


さらに香港の英字紙サウスチャイナモーニングポストでは、もっとひどくて、13才や14才の買春が行われていて、しかも日本社会は児童買春にますます寛容になっているという報道ぶりである。


しかし、すくなくとも、児童買春についてはいわゆる淫行条例しかなかった頃と比べて「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」厳格な処罰規定と取り締まりが出来てからの日本では一定の運用実態(多少古いデータだが警察庁HP参照)*5もある。

また確かに日本で「子供の貧困」が増えていて16%を超えているという内閣府の統計も出ているが、これは後掲リンクの国内基準で算出した、日本人の中での「相対的貧困」である。

そもそもフィリピンと日本の購買力平価を比較したデータを見てみると745対4843、すなわち一般的にはフィリピン人だと日本人の約6分の1のものしか買えないわけである。また国民1人あたりGDPになると、フィリピンが2934ドル(IMFによる2014年の調査)に対して、日本では38644ドル(内閣府調査の2013年データ)であり12倍以上の開きになる。(これらの点を仁藤氏は聴衆に説明したのだろうか)。

さらに、日本は衛生状態もよく教育環境も整っている上に、道路などのインフラも整備が進んでいる。大体、日本の児童が「貧困」といっても、それは相対的貧困である。(そして相対的貧困率は算出が世帯人数と所得の中央値によって求められるので一概にいくらからとは言えない(厚労省HP・算出基準についての説明を参照)。しかしとにかく仁藤氏は、日本の貧困をフィリピンでまで強調して、JKビジネスを貧困と日本人男性による、女子児童の買春に結びつけたいようだ。


こういう複雑な背景説明を除いて「おにぎりが買えない」などと言われるとフィリピン国ではたぶん、日本の児童が饑餓に苦しんでいるように思われてしまい、とてもミスリードである(狙って言っているのか、そうでないのかは不明)。*6

あと仁藤氏本人は、出国前に成田で一泊するスケジュールを取って、お酒もプレミアムモルツビールを飲むという、なかなかいい生活を送っている。

さらに携帯電話はiPhone5sからiPhone6へと、スマホとしては一世代前のトップエンドモデルからすぐに現行世代のトップエンドモデルへ機種変をしているとツイッターで報告していて、潤っているようだ(後述の通り、仁藤氏の団体Colaboは女子児童を守るためのシェルターを作るためとして募金や各種物品のプレゼントを募っているが、本人の消費を減らしてその分を費用にあてればよりスムーズに事業目的が達成できる気がする)。

ところで、今回の仁藤氏の渡航に深く関与しているのが、韓国民団と人的に密接な関係のあるNPO法人「JFCネットワーク」である。

なおあまり知られていない団体かもしれないが、この「民団」は韓国政府が毎年8億円以上を出資している、日本国内における韓国のエージェント機関そのものである。

では、このNPO法人JFCというのはいかなる団体なのだろうか。また民団との関係はいかなるものだろうか。
(2008年のJFC活動報告書でメンバーに仁藤氏の名前がある。10代から、仁藤夢乃氏がJFCの活動に参加していたことが分かる)

元記事はこちら

*1:本人は女子高校生に衣食住を支援する活動を行っていると説明するものと思われる。JKビジネスに範囲を絞ること、聞きようによっては買う側であるかのように誤解する可能性のある表現に隔意を感じる。

*2:統計の件については詳細に説明する。特派員協会記者会見でエコーニュースの江藤氏は2点質問している。「JKビジネスで働いているうち18歳未満の割合の統計はあるか」「スライドショーに映っている女性たちのうち18歳未満の割合を調査したか」この点に関して、仁藤氏は次のように回答している。公式な統計はない」「チラシ配りは18歳以上が増えてきているが、お店の中には未成年もいる。未成年の割合はニュース報道の影響に左右される」よって、街頭の客引きについて未成年が関与する割合が低いこと、JKビジネスにおける未成年の割合について公式の統計がないことについては両者は一致できると思われる。では、JKビジネスの未成年の割合がどの程度かについて数字はあるのだろうか。エコーニュースは仁藤氏に年齢の統計を要求しているが、自らは違法な買春行為をしているJKビジネスの割合が「一部」であることを調査したか不明である。エコーニュースは「まるで街娼の客引きに見えるが、実は全然そうではない」であることを証明できていない。ここを証明しない以上は被害を低く見積もっていると批判されても反論できない。

*3:秋葉原の写真は証拠というより話のきっかけとして用いられている。

*4:ジャパンタイムズの記者が特派員協会記者会見を聞いていれば割合は不明ながらも従業員のなかに未成年がいると理解したはずである

*5:エコーニュースのリンク先はなんと平成12年〜平成17年のデータである。「児童買春 統計」でググれば平成24年のデータが出てくるのにこのような古いデータを用いているのである。平成12年〜平成17年のデータであれば一定の運用実態があるように見えるのだが、最新の平成17年〜平成26年のデータでは児童買春の送致件数、被害児童数が右肩下がりになっているため、一定の運用実態があると説明しづらいためであると邪推したくなる

*6:仁藤氏のtwitter発言blog)を合わせれば「フィリピン女性は日本に行けば幸せになれると思っているかもしれないが月給9万円以下の仕事にしかつけず給食費、学費、家賃が払えず日本人男性と結婚して出来た子どもはおにぎり一つも買えない」という主張であると読むのが自然であろう。エコーニュースの上三段落こそミスリードである。「子どもが教育を受けられなかったり」とする仁藤氏の記事に対して「日本は衛生状態もよく教育環境も整っている」と主張するエコーニュースは、仁藤氏の記事をきちんと読んでいるとは思えない。