次は註12を検証します。
producing a significant and increasing amount of "teen pornography" that depicts young Japanese girls in sexually explicit poses in teen magazines.[12]
日本の若い女の子が性的にあらわなポーズで写っている「ティーンズポルノ」が載っているティーン雑誌とは何か。Japan's Sex Tradeの該当箇所すべてを引用すると長くなるので、該当箇所で取り上げられた雑誌名のみを列挙します。
1.高校生を対象にした雑誌
- スコラ
- ビデオボーイ
- ニャン2倶楽部
2.より低年齢向け
3.その他
- 投稿ドッキリ写真
- クリームマガジン??(挿絵)
1.はありがちなグラビア誌、エロ雑誌です。2.のパステルティーンは2chVIPまとめブログに実物があります。未成年にセックスを安易にすすめる問題ありな雑誌ですが、Wikipediaと合わせて考えると児童ポルノ雑誌ではないようです。服を着たモデルさんが性交しているように見える写真を児童ポルノ(COPINE scale level 5)であると判断したのかもしれません。3.の一つ目、投稿ドッキリ写真はありがちなエロ雑誌です。また、クリームマガジンはざっと検索した範囲では出てきませんでした。
結局のところ、成人に混ざって未成年のポルノが含まれていた可能性はあると思いますが、少なくとも児童ポルノ専門誌ではありません。この手の雑誌は”高校生モデル”は実は大学生以上というのがお約束と聞いたことがありますがどうなのでしょうか(※)。
※Japan's Sex Tradeでは、2人の少女が互いにペニスにまたがる、ペニスにまたがった少女をもう一人の少女が上下運動させる、といった体位を紹介しているとの記述がありますが、その「少女」は制服を着ているだけの大学生以上でしょう。
なお、註12の章タイトルは"TEEN PORNOGRAPHY"、訳すと「10代向けのポルノ雑誌」です。「10代向けのポルノ雑誌」を「未成年が出るポルノ雑誌」と誤読した可能性は、"Poppu Tein (Pop Teen) Pasuteru Tein (Pastel Teen) and Puchi Seben (Petite Seven) are meant for 10- to 13-years-old girls."と明確に「10から13歳向けの雑誌」と記載していることにより否定されます。
つまり、ECPATはJapan's Sex Tradeの記述から本当に未成年がセックスしている画像が掲載されていると勘違いしたか、底意から強引に結びつけたかのどちらかです。
ECPAT基調ペーパーの「"teen pornography" that depicts young Japanese girls in sexually explicit poses in teen magazines」という記述、これは"teen pornography"という言葉はJapan's Sex TradeのP184-188では定義されていない、よってECPATの独自定義であることを付け加えさせて頂きます。
なお、和訳には上記に加えて興味深い手法が使われています。ECPATの基調レポートから註12に関わる1文のみを抜き出して英和を比較してみましょう。
In Asia, Japan is the most important centre for the commercial production of child pornography, producing a significant and increasing amount of "teen pornography" that depicts young Japanese girls in sexually explicit poses in teen magazines.[12]
アジアでは日本が子どもポルノの商業用製造の最も重要なセンターとなっており、ティーン雑誌(註12)に日本の若い女の子が性的にあらわなポーズで写っている「ティーンズポルノ」が数多くつくられ、さらに増加している。
英文では文章に対して註を付けている一方で、和訳では単語に対して註を付けています。『子どもポルノ国際的展望』のなかでこのような註の付け方をしているのはこの箇所だけです。「ティーン雑誌」に註を付けることによりこの箇所に視線を向けることができ、子ども向けの雑誌に児童ポルノが含まれているなんておぞましいという感情をより喚起させることができますね。
2012/4/7 22:48 一部記述を修正