1/29 浅野都議の座談会

震災前に行われた浅野都議の座談会のメモです。浅野都議は何度賛成派と言われても賛成派の気がしないですね。スマートにまとめられたものが読みたい方はマンガ・アニメの規制について考えてみるさんへ。

浅野都議によるこれまでのいきさつ

賛成派は自公+キリスト教原理主義+警察+PTA。PTAには分かってない人もいれば、分かって乗っている人もいる。プロパガンダ的なものを感じる。保守vs革新に持ち込まれるとイデオロギーによる対立の構図になる。私はどちらかというとかなり右だが、右左それなりに話を作る(合意する?)ことができると思う。チャンネル桜は条例を読んでない人、観念的に賛成している人もいる。

一昨年の12月に答申。協議会メンバーと話をし、注意をする必要があると思った。勉強会を再スタート。条例案の提示についての批判があったが、一般的には内々の説明をしておくのが通例だけれども条例を直前に出すのは問題ない手続。松下玲子さんが予算会議で条例を取り上げて(脅し)執行部恐怖に落としいれた。都議会では交渉会派というものがあり、執行部同士が折衝する。自分の会派が折衝時と異なる結論を出したりすると審議違反となり以降、議会内で発言権を失う。3月は民主党内をまとめきれなかったため6月に延期、否決した。

7月、杉並の田中良元都議が区長選に出馬、当選。11月に総務委員会の人数変更。民主・共産・ネット含めて自公と同数になった。委員長が公明党のため、同数委員長裁決になると(公明党の意見が通るため)詰んでしまうことに。6月〜12月に出版・ビデオ・ゲームなど自主規制団体回り交渉。民主は自主規制がよい状況とは言い切れないという意見書を出版界へ提出。自公はPTAなどに説明会。練馬区では説明会がなかったようだ。治安対策本部が3月の条例案で何が問題だったか何度も質問しに来た。

11月に条文が出て党内の意見が割れる。賛成に回った人はそれぞれ観点が違う。前から賛成でいいやと思っていた人、否決から賛成に回った人、条文で民主党の意見が受け入れられたのでよしとした人、この後の展開(4月の杉並補欠選挙で敗北すること。民主党は負けました。)を考えるともっとひどい条例が出てくるからという人。

審議会の公表について。7月施行に合わせて新基準に合わせた運営を。公表するかしないかは委員が新しく決まったときに公表基準を決めることになる。現在議事録が非公開なのは1.都職員を除く発話者の所属 2.指定された図書以外の図書名が出てくるという理由。そのため、自由に発言できるように一般の方々は名前を非公開とする必要がある。次の審議会メンバーは希望者が殺到している。自公を敵にせずに、吉田都議と松下都議を送り込むことができれば。

(コン研杉野さんより審議会は信用しているとの発言あり)審議会は協議会とは違う。協議会は知事の要望に対して大義をまとめることが仕事。審議会は有識者のうち半数が都議会議員、残りは大学教授とPTAとメンバー枠が決まっている。今までは性的刺激が強いとされた部分に付箋を貼ったところだけを見ていたが、全体の中で煽りすぎているのか・違法行為が誇張されているかを判断できるよう書籍の全部読めるようにしたい。

チャンネル桜の討論番組では賛成派はこんな漫画を子どもを見せてよいのか、反対派は表現の自由を侵している、観念・思想的な話だと合意点が見いだせない。

質疑応答

Q.チャンネル桜の討論番組って? 
A.討論番組が一昨日にあった。反対派は浦島、東京kitty山野車輪、キムヨンス。賛成派は水島、土屋、浅野、古屋:自称アニオタ保守本流

Q.作家・小説家の間で萎縮の話が出ている。浅野都議は可決される前と、今とでどのような違いがあると思うか 
A.規制されたときは萎縮は出る。悪いことだが、萎縮あるから可決していけないという話なのか?児童ポルノ法の際にバカボンド紀伊國屋から撤去された例があるが、行政はそのようなことがないよう説明する必要がある。萎縮をさせる大本は条例だが、直接は出版社。漫画家・作家は飲まざるをえない。日本の出版界が構造的に作家にしわ寄せしていることに目をつぶっては駄目だ。萎縮するから規制をかけるなではなく、出版、編集に取り組みを求めるべき。消費者が声を上げていかないと自由な創作活動は手に出来ない。

Q.可決前の予想とくらべて、現状をどう考えるか。 
A.まだこれから強まると思う

Q.条文の曖昧さは都から説明を具体的に示すのか。 
A.一定レベルの曖昧さは自由を守るためには必要。一番厳密なのは数字=包括指定となる。出版は都に曖昧さを利用して限定的解釈をして、何かあったときは訴えればよい。

Q.異議申立手続がない 
A.行政処分不服審査がある。宝島社だけが闘ったことがある。TAFボイコット悪いとは言わないがだったら出版社は限定的に解釈して作者に書かせるべきでは。

Q.闘えるのは大手のみ
A.大手はグレーな作品を作っていない。中小が狙われることが危惧される。理想論と言われるが表現の自由を守るというなら中小をサポートしなければならない。機関を作って、弁護士を雇ってetc。映像・ゲームは事前審査、出版は事後審査。だからこそ作品を出してみないと分からない。出版社はゲームとくらべてやりやすい環境にあるというメリットがある。歴史的に、出版物の規制は検閲に繋がるため事前審査をやるべきではない。どうしてもリスクは出る。リスクを回避する取り組みが必要。

Q.業界として取り組みが不足している。たとえばコンビニではコンビニのフランチャイズ協会が置く置かないの力を持っている。取次も口を出すべきだ。一方で、指定された書籍を書店が置いていると罰金を受ける。それを出版社が全て守るのは難しい。小売りの抗弁手段が必要では。 
A.現実的に、指定図書になったものは帯付きになり、現実的にはないだろう。故意にやっているというしかない。いずれは小売りの抗弁も必要だが、あの条文通りやれば、どうしても抗弁したいという出版社はないと考えている。

Q.審議会の議事録ではあっさり賛成としている。 
A.審議をかける前に出版と話している。出版がOKとしても、過半数で指定されるケースもある。

Q.出版社が闘うべきだという浅野都議の意見に対して。コンプライアンスから安易に言えば、(そういった表現を)削れるなら削ってくれという注文をするだろう。モラル規制は公権力がしてはいけないはず。 
A.本当はモラル規制はやるべきでない。わいせつ物規制必要ないという人もいるが、理想的社会は自主的判断の下で自主規制を行うべき。残念ながら売れるなら売っちゃえという人もいる。どのラインまで対象にするかがもめるところ。架空キャラクターの保護法益はほとんどない。社会的に影響を与える、は認めていいという話。

法律では販売規制だが実際は廃刊。コンビニ・取次の取り決めを撤廃すべきだ。

近親相姦については最後まで議論になった。最終的にどうしてこれを入れたのかというと治安対策。91年にコミック規制が実施されたのちに萌えブームが起こり、兄と妹の近親相姦はアダルトビデオでも人気があり、ジャンルとして確立している。マンガにも増えてくる。官能小説には義理の母と息子というテーマもある。これを過度に縛るのはよくないし現実の虐待とは結びつかないが、性情報に触れるハードルが低くなっている。今はすごく簡単。ハードルは設けるべきだと思っている。蔓延抑止は存在を認めない(ため採用しない)

出版界が闘う必要がある。コミック10社会の力でコンビニと闘えばよいのでは?ジャンプを引き上げるぞ、など。行政と闘うだけでは駄目。世論が恐い。世論に訴えないといけない。

Q.条例の趣旨として「見せたくない」というものがあるのではないか。見ると有害だったりするものを防ぐものであるべき。 
A.個人的には有害という言葉は使いたくない。ハードルが必要という判断。

Q.ハードルが下がっているというのは分かる。アルジャジーラでエジプトデモが放送されたように、インターネットですべてのハードルが下がっている。だが、ハードルが下がることは悪いことばかりではない。政治家は我々国民の代理。政治家にも変わって欲しい 
A.今日ここに来ている方が国民のすべてではない。日本人は素直で勉強熱心なことがマイナスに働いている。素直なのですべて鵜呑みにする。

インターネットで議員と国民の距離が縮まったが、専門家ほど一般人と判断が異なってくる。民主党の賛成派は審議会に入るほど熱心ではない。また、自公はもうこの条例にかかわりたくないと思っている。

Q.1.都とこれまでうまくやっていたものが駄目になったのは何故? 2.マンガ・アニメを名指ししたのは何故? 
A.1.警察が入ったというのはある。関係を壊したのは事実だが、条文を見るべき。 2.条文上いらない文章。あえて外したことに意図を感じるが、条文の効果は変わらない。彼らはメンツがあるので修正案にのってこない。共産は修正案にも賛成しない(からそこを修正しようとしても意味がない)。

Q.書籍を見せる見せないを判断する役目は親にある。親だったら子どもは戦えるが、法で規制するとハードルどころか「壁」になりかねない。 
A.個人的に「事実上の廃刊」は懸念すべきことだと思っている。販売規制であればどうにかして入手することができる。

Q.女性向けは条例でハードルが高くなるのではないか。男性向けの18禁と女性向けの18禁は同じではない。 
A.女性が18禁指定されることを気にするのは分かる。ただ、将来的にそれをクリアする形の商売が出る。建前上、ハードルは越えてはならないことになっているが、全体としてハードルが下がっているのでこれ以上下げてはいけない。何とか智恵を出してクリアして欲しい。