子どもの権利条例シンポジウム 届け!子どもの声 〜子どもの権利条例で実現できること〜

公式tweetがあるので色々とてきとー。

三坂:昨年、都は健全育成条例の制定を強行した。対処療法的な条例でよいのか。表現の自由としてもっぱら報道されているがそれだけではない。より根本的な対策が必要では。

宮本氏

乳幼児〜青少年のサポート強化が必要。15歳未満の経験が30歳以降に影響する。学校から社会への接続。

子ども・若者支援推進法の制定。若者層の実態が分かってきた。1つ、2年前からビッグイシューの若年層の販売員=ホームレスが増加した。日本のホームレスは海外と違って中年が主だったが平均年齢がだんだんと下がっている。(ビッグイシュージャパンのHPで調査結果が公表されている。2つ、定時制高校の卒業生は若年ホームレスとほとんどおなじ状況。親に守られない子ども達は厳しい労働市場で食べていけない。

社会に対する「諦め」の感情が中流層の中にも広がっている感じがする。心の悩みを持つ学生が増え、学校の精神神経科メンタルヘルスにかかっている学生も。20〜30%の大学生が中退する現実。人が苦手、コミュニケーションが苦手。→自分の中に閉じこもり、社会からの退行が見られる。若者をいかに社会に参加させエンパワーメントさせるか。

学校教育段階を終わろうとする子どもへの取り組みは海外に比べると20年遅い。政府の支援も開始されたが、20代後半〜30代で居場所がない人たちがいる。社会にうまく出られない人たちのほとんどは子どもの頃からめぐまれない。にも関わらず把握されず、継続的サポートもない。

学校からドロップアウトさせないことお。先生だけ責めても意味がない。学校と社会を連結する。2004年当初はNEET=めぐまれた環境にありながらだらしない若者達というレッテルが貼られていたが、一番家庭が恵まれていない若者達であることが分かってきた。

能動的社会政策が必要。若者対策=雇用対策で予算がついているが、そんな単純なものではない。恵まれていない若者には雇用対策だけでは終わらない。事後ではなく、予防的対策へのシフト。子どもの時期、0歳〜4歳、小学生、中学生、それぞれの時期でサポートが必要。

親によって救済される子どもと救済されない子どもがいる。複合的な問題。学校時代に勉強が分からない、深刻なイジメから立ち直れない、家庭崩壊、経済的困窮etc。労働行政だけでは対応できない。総合的対策が必要。縦割り行政に対して制度またぎをできる法的整備が必要。20自治体でモデル事業が始まっている。

菅内閣でパーソナルサポーターの導入。人のある部分を切り取って支援するのでは効果を発揮できない。伴走型。

これまでの青少年政策は「健全育成」「スポーツ・文化活動」の二本立て。80年代から海外では健全育成を越えた生活基盤の安定化を行う総合施策が行われている。日本でもようやく子ども・若者ビジョン推進法が制定された。

ヨーロッパの議論。社会トレーニングの場の変化。大人になるのには年月がかかる。自立できるだけの条件はあるのか?→早期に若者を社会に参画させる。欧米では具体化されている。フォーマル教育だけでは育たない。ノンフォーマル教育が重要。若者レポート2001は北欧の色が強い。自分自身で考え、意志決定できるよう積極的市民として育てる。
イギリス2004児童法「Hear by Right」子どもの意見の聴取、意見決定に子どもの参加が必要。全ての法的機関、商店、学校は子ども参画の現状を調べ、一年後の目標を立てて子どもの参画を具体的に進めなければならない。


江戸川区子ども若者グループ

Q.自分たちでキャンペーンをやってみてどう?
A.まじめに考えたり、アンケート配ったりして活動したり、いい経験になったし、動いたらみんな返してくれるんだなと実感しました。他には警察や相談所など普段行かない場所に行って経験した。
Q.なぜ警察や相談所に行ったのか
A.話のなかから実際行ってみようということになって即日アポなし突撃
Q.学校に報告しに行ったり区長と会ったりすごい。一年間ずっと活動できたのはどうして
A.今いるチームは全然知らない人が集まってできた。最初はみんな緊張していたけど、事件を受けてショックを受けて誰かが動かないといけないと思った。真剣にみんな考えている。学校以外のところで知らない人と話ができるのが新鮮で今まで続けてこられたと思う。
A.何故かよく分からない。毎回集まりに行ってみたら疑問が生まれて、知れば知るほど知りたくなる。もっともっとという気持ちで通った。乗り気じゃないときも雑談したりすると行って後悔したことがない
Q.学校の友達と遊んでいるときの楽しさと違う?
A.学校の友達とは分野が違うので比べるのも難しい。最近の集まりで「わたしたち友達なのかな?」という話題があった。知り合いほど遠くもないし、仲間でもないし……。普段連絡とか、遊びとかしない。自分の中のスイッチがあって違うモードになる。違った良さがある。
Q.チーム明後日のみんなはもともと社会問題に関心があったの? 最初の活動のときからいたメンバーなの?
A.最初からいるのは2人だけで、チーム明後日のグループが結成されたときに参加した人や、また違う段階で入ってきた人もいる。最初からいる人が偉いわけでもない。大人を尊敬する部分もあるけど、対等に話していけるのが相互理解だと思う。
Q.対等に話せるのは最初から違う意見も言えるような雰囲気だったから?
A.最初はみんなカチカチ、回を重ねるごとに打ち解けてきた。大人とも敬語なしでしゃべっている。江戸川子どもホームズが子どもの声を尊重して聞いてくれる。わがままと採らないで、貴重な意見として最大限に実現可能な形にしてくれるような
A.茨城県から参加した大学4年。児童福祉に興味。みんなは周りの大人に恵まれている。大人が子どもの声に気付いて、同じ立場として尊重して欲しい。
A.報告会をtwitterで参加して、私は「虐待とか何故そんなことするのか」という興味だけで止まっていて行動を起こしていないと思った。どうしたら子どもが住みやすい社会になるか考えている。
Q.大人に言ってみたいことは?
A.虐待防止したいという気持ちで活動しているが、いくら頑張ってもゼロにはならないと思っている。だからといって何もしないで考えているだけとか、心に秘めていても何にもならない。そういう状態が続くと変わらない。少しでも皆で考えて意見交換してみたり、仕組みを知ったり行動するとかが大事。子どもの力だけでは限界があるけど何もしないよりずっといい。他の人たちもきっと何かできるし、自信に繋がる印象がある。いろんな人に会えたり、人の考えを聞いて対話して理解できるいい機会。虐待だけじゃなく、若い人が動いて大人が聞いてくれる社会にしたい
A.子どもの声を大人が受け止めてくれる。間違ってもらいたくないのは、子どもに権利を与えるのと権力を与えるのとは違う。アンケートの回答から、みんなが真剣に考えて解答してくれたことが伝わってくる。子どもの生の声を聞いて頂きたい。
A.アンケートを見て興味もった人や区長に会えたり、無力ではない。小さな力が積もって社会を変えられるといいなと思う。


パネルディスカッション

三坂:90年代から取り組んでいるがまだまだ不充分。チーム明後日から前向きの発言があり、こういう方向で変えられたらいいな。まずは現状についてパネリストから
荒田:地域と子ども、社会をつなぐ仕事をしている。子ども=遊びがキーワード。以前世田谷のプレイパーク、子どもがやりたいことをできる場所で勤務をしていた。子どもの遊びは子どもの権利実現に有効なwelfare。今の社会で自分を出せない中で、自分たちのやってみたい気持ちが言葉になって出てくる。自己決定の第一歩。そのうち子ども達は声を出さなくなるのではないか。子ども達は色々やってみたいけど、外に出せないのかもしれない。
一場:パンフにあるよう、子どもの相談を受けている。虐待が疑われるケースについて弁護士として引き継いで対応する。担任はいじめに対し何もしないし、イジメを受けた子どもに学校に行くなという医師もいる。子ども―担任―医師のあいだに第三者として話を続けるうちに子どもは学校に行くことができるようになった。子どもは仲直りしやすい。犯人捜しや謝罪の強制は逆効果。
三坂:いじめ、先生とのトラブルなど学校問題の占める割合が多い。
坪井:制度の狭間に落ち込む子どもをシェルターで保護している。楽しいことなんかない、生まれなければよかったと考えている子どもの問題を私たちが解決できるなんて思い上がりはしていない。けれど、子どもを抱きしめ続けることはできる。生きていていいんだよ、ひとりぼっちではないんだよと言い続ける活動です。
荒牧:子ども達をめぐる問題に取り組むほど、子どもに否定的になる状況がある。子ども達への否定的な感情が子どもを否定し、悪循環を生んでいる。子どもが持っている力を信頼・確信できなくなっている。そのため、ますます一方的な対応で終わってしまう。子どもの願いと大人が子どものためと思っていることにズレがある。常に子どもから出発することが大事。
荒牧:子どもの自己肯定感をどのように高めていくか。自分が好きか、周りから大切に思われているか、社会に役立つことをしたいかetc。周りから大切に思われていると思えることは、権利意識の擁護に繋がる。調査の結果、自分が好きだと思っている子どもは50%。子どもは傷つけられたとき「何もしない」「何も出来ない」と自己肯定感が低いほど学校に打ち込めない、話せる人がいない、我慢する傾向にある。社会参加の意欲がない。
三坂:権利侵害、相談、権利回復。これは福祉オンブズマンetcの制度により実現できてきている。にもかかわらず十分ではない。その点について今の制度で何が出来て何が足りないか。子どもの権利条例で何ができるのか。
一場:平成10年に子どもの権利擁護委員会が発足し、権利委員会のオンブズマン要求による第三者機関として都独自のシステムを作ろうとした。条例に基づいて実施する予定ははじめあったが、実施要項で運営している。中立的第三者として学校でのイジメなどで家族、学校間のコーディネートを実施。法律に裏付けられた権限はない。調査権限にも限界がある。法律としてあれば、解決しやすくなるケースもあるのでは。
三坂:東京弁護士会が提起したスタイルで成果をあげてきている。学校と対決することが必ずしも解決にはならない。
坪井:1.子ども自身のニーズから出発していない。大人が判断して運用している。子どもの代弁者として弁護しが代理人として動く。2.子どものケース会議をひらき、子どもの希望や、困難さを子どもと一緒に語り、相談する。子どもの声を聞かないスタッフは子どもから拒絶される。子どもがいない場所で決定しても何にもならない。3.他機関の連携による総合施策。少年司法と児童福祉の縦割り問題。子どもを中心として福祉課、治安対策本部、家庭裁判所etcあらゆる機関が集まって会議する。たくさんのアイディアが生まれたり、新しい動きが始まったり。
荒牧:子ども固有の相談救済システムが求められる。行政から独立した、調査・監督権限を条例で法的に担保する必要がある。総合的連携も条例に基づいてコーディネートする人がいるとしやすい。子どもの権利救済について、傷つけた側を告発するのではなく子どもの意見を聴いて解決する。条例にする=議論が見え、市民が参画できる。市民によって検証を受けることが必要になってくる。しかしながら、作っても効果的に実施できないと意味がない。
荒牧:問題点は5つ。1.今のシステムとどう違うのか理解しにくい。2.人と物――とくに金がかかるのでつくりたがらない。3.制度を担う人、実践できる人がいる。4.子どもからのアクセスをどうするか。知ること、分かること、使うことそれぞれにハードルがある。5.制度を支える市民の力
三坂:権利救済以外に必要な制度があるのでは
荒牧:相談機関の設置は急務の課題。個別の活動をしながら、子どもが自分の問題が自分だけの問題ではないと気付く。それを制度改善へつなげるための提言機能が必要。子どもの問題に取り組む際、子どもの居場所作りが必要。電話して子どもは来てくれない。ふと漏らすことにSOSが見えてくる。意見表明を権利とし、制度を作らなければ、子どもと接する大人によって対応が異なることになってしまう。子ども条例は川崎市トップランナー。経験を蓄積して効果が出ている。子ども支援条例=子どもに関わる人の支援を総合的に保障する条例や、ユニセフの「子どもにも優しい町」と連動しながら相談救済の仕組みを進めている。
荒田:条例を運用するときに、自分がこれまでしてきたことから活動で何が重要かというと、子どもが「聞いてもらった」と思えること。「自分が聞いた」実感に終わらないこと。子ども達は圧倒的に知らされていない。子どもに与えるべき情報、与えるべきでない情報ではなく、慎重に扱う情報もあるがあらゆる情報を開示する。子どもは瞬間に生きている。それにどうやってついていくか。子どもの意見はじっくりと熟成させるべき。ノータッチではなく、子どもと対話しながら待ち続ける。権利の自認と経験の相互作用。社会に対しての意欲と、自己肯定感の高まり。虐待問題に取り組んで1年たって、チーム明後日は何をキーワードにしていくのか。他の分野で応用できることがある。他の分野にいっても聞いてもらえると思えることが次のステップへ重要。
三坂:子どもの声をもっと聞いて社会を変える方向につないでゆく。
一場:子どもの問題は素早く解決する必要がある。子どもの特徴をよく理解して、声を聞く姿勢を持つオンブズパーソンが必要。今は試行的に実施している。行政に提言できる機能をもとうという話もあったが、形を変えて実現した際に外された。オンブズパーソン自体が消される恐れがいつもある。相談員に聞くと、子どもは相手が自分の言うことを聞いてくれると思ったときに初めて口を開く。最初に相談を受ける人が大事。
荒田:子どもの権利条例。子どもの側に太刀、真剣に耳を傾ける専門の相談員がいることに意味がある。子どもが権利を持つことがそんなに怖いことなのか。意見表明は一方的な要求ではない、大人と子どもの対話だ。大人が受け止められるかではなく、どれだけ一緒に考えられるかだ。今の社会の仕組みでは、子どもは自分の声を聞き入れられないと思っているかもしれないが、そんなことはない。
坪井:子どもの権利とは何か都民が共有する必要がある。義務、責任はどうするという声が出てくる現実を正したい。対話する中で社会の構成員として子どもが認められると考えること。子どもの権利救済って何?どうなったときに救済されたことになるのか?独り立ちして意見表明できるようになって……ではないと思う。ごはんを食べられない、寝られないという子どもが瞬間でも「生まれてきてよかった」と思い続けられる社会、子ども達がしあわせを感じられることを大人がサポートする。都知事選で子どもの権利参画についてどう考えるか質問しよう。
荒牧:坪井さんに都知事になってもらいたい(笑)子どもの力をどれだけ信じられるか。子どもと向き合う必要がある。世代でも縦割り行政になっている。国際社会では子どもを中心に置くとりくみが進んでいる。

Q.子どもに関係する条例、法律を作るにあたり子どもの意見を聞く仕組みは作れないのか
荒牧:子どもの権利条例についても、作る過程の中で審議に子どもが入る実践例がある。関わった子どもはどうなるか気になるのでサポーターとして支援する事例もある。そういったことを積み重ねる。
Q.自己肯定感をどう高めるのか。
一場:一つ言えるのはその子を信頼すること。信頼されれば子どもはそれに応える。
坪井:子どもと大人は対等なパートナー
荒田:よく聞くこと。ゆっくりと、子どもが言おうとしていることは言葉のその先にあるのではないか。一生懸命聞こうと努力している大人は子どもにつたわる。
荒牧:悩ましい。私たち自身が自分を好きになること、自己肯定感を高めるところから始めたい。自分が好きではないのに、子どもの肯定感が高くなるわけがない。親、教師の肯定感が低い。