東洋経済5/23より。
こう言うと、「時間の切り売りをしてでも収入減を補わなければ生活できないのだ」という反論が出てくると思う。しかし、本当にそうだろうか。シカゴ大学の山口一男教授の研究によると「月収が10万円減少することによる妻の不満は、1日16分多く話を聞いてあげれば解消される」という。(ワーク・ライフバランス代表取締役 小室淑恵)
山口教授の研究の下ネタとなった「消費生活のおけるパネル調査」の最新の数字を見ると、勤続年数別平均月収より100万弱高い値が出ていますので、平均値=25〜34歳の妻の夫の年収は500万〜600万と仮定したいと思います。二人世帯の平均(350万〜400万、子どもの貧困P47)に比べて余裕がありますね。月収が10万減少してようやく平均になるレベルです。
山口一男教授も論文にて「もちろんこれは平均であって月収10万円の違いがより大きな意味を持つ夫婦もいるだろう。しかし平均的には夫婦関係満足度はお金では買いにくいものなのである。ただし就業時間の減少が解雇・失業の確率を増すなら、夫の失業のインパクトは非常に大きいので、話は全く別であり、あくまで雇用の安定に全く影響しない残業時間や就業時間の減少ならば、という仮定での話である。」とおっしゃっておられるように、「時間の切り売りをしてでも収入減を補わなければ生活できないのだ」という層に適用すべきであるとは読み取れません。
ちなみに上記の平均値から月収10万円を更に引きますと、年収180万〜280万という、「元の給与から見た」貧困線(50%ライン)を切る数字となりますが、ワークライフバランスの旗手にかかれば一日の会話を32分増やすだけで夫婦仲は元通りになるとでも言いたげです。そんな馬鹿な。