リオ会議のECPAT資料をすさまじく適当に日本語訳してみた。

2.2 バーチャル児童ポルノ

次に討論すべきは疑似(デジタル)画像とバーチャル子供ポルノについて。欧州評議会の”性的搾取と性的虐待から児童を保護する会議”では次のように述べている。シミュレートされた表現もしくは実在しない児童の写実的な画像からなるポルノについては、その全部または一部を(児童ポルノとして:訳者注)適用する。バーチャル児童ポルノの取り扱いについて国際的な枠組みの中で確定していない。バーチャル児童ポルノを犯罪とすることの必要性についてコンセンサスが取れていない。インターネット児童ポルノと法律の関係について想起する私たちはさらに詳しく調査してゆくつもりだ。

デジタル画像についてガレスピー(2003)は重要な論点を提供した。イングランドウェールズにおいて疑似画像の所持は軽い判決を下す傾向がある。米国では、バーチャルポルノの合憲性についての討論が続いています。最高裁判所の多数派である言論の自由連合(2002)により起草された1996年の児童ポルノ禁止法により実在ではない、もしくは実在かどうか不明のバーチャル児童ポルノは違法とされているが、にもかかわらず広まっています(クエール,2008)。米国法廷は以下のように述べている。「政府は画像が児童虐待につながる可能性があると主張しているが、バーチャル児童ポルノは子供の性的虐待に本質的に関係づけられない。必ずしも害があるとは限らないが、のちのちの犯罪の潜在的な原因となる。」疑似写真が私たちの問題の理解を複雑にしている。しかしながら、被害はいつも特定の子供に向かっているとは限りません。性的搾取はどのように発生するのか。児童ポルノ画像の頒布と所持に関する法律は気づかないうちに被害者を生んでいます。虐待画像の増加により児童が虐待の対象として見なされる可能性が増しているとキング(2008)は述べています。

2003年、テイラーとクエールはこのように書いている。「写真を切り貼りして作る疑似写真はしばしば技術的に高度な処理を施されている。デジタル処理で実在の人物でもなく、実在の風景でもない画像を作ることができるのだ。例えば、児童の頭を成人女性のものと取り替えて、あたかも児童の体であるかのように操作している。(胸をぺたんこにして陰毛を消すのだ)」しかし、このような製造物は数年前の技術にすぎません。Adobe Photoshopのようなソフトウェアの出現により、私たちの多くはかなり複雑なデジタル画像を創作することができる。コンピュータ処理されたアニメーションや3Dグラフィックは簡単に手に入るようになり、アニメーション児童ポルノが増加するだろう。それは完全にコンピュータ上の画像から制作されており、リアルなものになってきている。このような画像の頒布がどれほどのインパクトを与えるかは計り知れない。

このような画像の第一の生産国が、漫画やアニメの巨大市場である日本である。漫画やアニメ信者の多くが性的搾取的だ。ガーディアン(2008)によると、学生や子供みたいな大人が強姦されるかSM拘束される成年漫画は多くの割合を占め、5000億円に達している。しかしながら、この記事は漫画が一般的にロリコン-ロリータコンプレックスに対する日本のスラング-に属していると主張している。これら漫画は日本の児童ポルノ法の禁止対象外になりそうである。「ある国会議員は漫画規制が表現の自由を侵害することにつながるのではないか、性的表現のはけ口として漫画を使った男性がより攻撃的になるのではないかと心配している」。バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会(2006)では18歳未満とみられる児童(なかには小学生と思しき児童も含まれている)の性的虐待画像がコミック、PCゲームとアニメーションが流通していると述べられている。研究会では性交する児童の画像が紹介された。なかには大勢の成人男性に輪姦される児童の画像もあった。このような画像は暴力へと向かわせ、性的行動に対する閾値を下げるものだ。なかには児童が性行為を楽しんでいる画像もあった。さらには、製品の表紙ににそのような画像を使ったものもあったのだ。

この研究会が提出した報告書では日本ビデオ倫理協会やソフトウェア倫理機構による自主規制の取り組みについても紹介された。ただし、自主規制は全ての製品に適用されるものではない。更に厄介なことに、この報告書ではインターネットがハードコピーコミックの温床(ほとんどコントロールされていない)となっていることも報告されている。「2006年の警察によるサンプル調査によると、ある有名なインターネット書店では成年漫画の販売に理解があり、9000冊の成年漫画のうち30%が児童虐待画像と思しきものである。児童虐待画像か否かは、表紙にランドセルが描かれていることから判断している。このことから、小学生以下の児童が性行為の対象として描かれた漫画が市場にかなりたくさん出回っていることが予想される。さらには、児童虐待画像を含む漫画ほどではないが、同様のPCゲームやアニメetcも存在する。さらに言えば、小学校以下にみえる児童を性行為の対象として描いた5つの成年漫画は6つの有名なインターネット書店で販売されていたことが調査から確認されている」。この報告書には週間文春(2005)のゲームショップ店員によるインタビューが引用されている。「美少女ゲームには二種類ある。一つは、無垢な少女とのラブストーリーで、もうひとつは極めて暴力的でプレイヤーは少女を性的にコントロールし調教する。人気のあるゲームのひとつでは「射精ボタン」があって、プレイヤーがボタンを押すと少女にスペルマをぶっかける」。例えば日本で生産されているこのような製品が全世界の人々により消費されていることは明らかだ。バーツの報告書(2008)によると、調査官によって確認された50ケースのうち10ケースは児童搾取商品が係わっていると述べている。ある調査官の報告書によると「膨大なコレクションの大半は日本製の漫画だ。児童が成人との性行為にまきこまれる様が写実的に描かれていた。なかには実に暴力的なものがあり、緊縛されている児童が描かれているものがあり、漫画に出てくる児童は自分が置かれている状況に苦痛を感じていた。父母双方との近親相姦を描いた漫画すらあった。」(p24)

もちろん私たちが経験してきたように、日本国外においては、児童の性的虐待を描いた写実的でない画像を犯罪として付け加えるよう努力してきた。イギリスにおける正式な会議では2007年4月に始まり、今年の6月に決着を見た。先だって、内務省のインターネット上の児童保護に関するタスクフォースの犯罪法律サブグループがコンピューターグラフィックスについて問題を提起している。会議資料は以下のように認定している。画像は創作の過程においては害を及ぼさない。しかし、特に技術の発達により可用性が増大した今の社会においては、そのようなものの所持は(児童虐待に対する:訳者注)興味を生み出す。多くの人々にとっては何がポルノであるかの定義は面倒で不透明なものであることに留意せよと会議に対する意見の要旨で述べられている。また、以下のことにも心配せよ。「アニメーションは異なった年代をまぜこぜにする象徴である。アニメーションは主観的な年齢を当てはめるため、合法かどうかの判断ができない。イギリス政府はこの新しい犯罪の違法化に向けて計画を立てている。疑似児童ポルノバーチャル児童ポルノの処罰に反対する人は、製品で(実在:訳者注)児童が被害にあったわけじゃない、児童ポルノの範疇に含めるべきでないと異論を唱える。歴史的にみて児童ポルノ製造の処罰は児童を性的虐待から防ぐことなのだから、疑似画像は実際の虐待に関係しない、だから処罰の対象に含めるべきでない。このような言い方をするたとえばアメリカの市民自由連合たちのような反対者は次のようにも主張する。人々の思想は彼ら自身のプライベートなものだ。疑似児童ポルノの禁止は自由な言論の侵害だと(テイラー,クエール,2003)。しかし、オズウェル(2006)はこの種の意見に対する重要な議論をプレゼンした。バーチャル画像の証拠価値は現実の画像とは違うけれども(それゆえに警察の操作形式や訴追手続きは違うけれども)画像は実際の児童性的虐待に結びつくと言われるようになるまですべてのインターネット上の児童ポルノを見られるのだ。この意味では、画像が他人に与える効果だけでなく、画像によって形作られる関係性の力、画像のバーチャル証拠性(言い換えれば、目的の内部と外部に与える画像の能力)にも影響する。バーチャル画像の倫理上の強さはまさに画像の遥か彼方まで届く能力によっている(P258)。オズウェル(2006)は単純所持罪についても述べている。(バーチャルであろうとなかろうと)児童ポルノの製造と頒布は犯罪だ。特定の児童に対してだけでなく、全ての子供たちに対して。「それは普遍的な幼年期に対する犯罪だ」(p252)

私たちは主張する。児童ポルノの単純所持、製造と頒布は犯罪だ。バーチャルだろうが現実だろうが関係ない。実在の児童に対してではなく、すべての児童という存在に対する犯罪であると。

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